2011 Fiscal Year Research-status Report
後天的身体障害者のスポーツへの社会化に寄与する他者に関する社会学的研究
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23500750
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 毅 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70210698)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 障害者スポーツ / スポーツへの社会化 / 他者の類型化 / 車椅子バスケットボール / 語り |
Research Abstract |
本年度の実施計画通り西日本と東日本に在住する車椅子バスケットボール(以下「車バス」)男子競技者各4名(前者は全て神戸の「清水M・S・T」所属、後者は3名が「埼玉ライオンズ」所属、1名は代替として元「千葉ホークス」所属)を対象に、受傷してからスポーツ(車バス)への社会化を遂げていくプロセスに寄与した他者をめぐるインタビュー調査およびデータ分析を行った。本研究の主な独創性(意義)として、スポーツへの社会化を準備局面(受傷してからスポーツに参加できる状態に回復するまで)と主要局面(実際にスポーツに継続的に参加するに至るまで)の2局面で捉えることと、彼らの語りを基にして他者について解明することが挙げられることから、これらに留意しながら主な成果を示す。 まず、準備局面に寄与する他者として認められたのは「弱音をはける」「文句をいえる」「率直に励ましてくれる」などの他者である。寝たきりの状態や初期にリハビリに取り組む段階では、ショックを緩和したり少しでも前向きにしてくれる他者が貴重な存在であり、そうした他者は情緒的支援者との既存の概念で括ることも可能であろうが、ここでは語りとその文脈を踏まえ「気を許せる他者」と呼ぶ。次に主要局面についてだが、7名が車バスを始める契機となったのは、入院中に関係者から車バスに誘われたり勧められたりしたことである。こうした他者は「導く他者」と呼び得るが、他1名は自律的に車バスクラブを探し当て参加し始めた。彼らがその後、車バスへの社会化を遂げるには、参加したクラブ内での「親切に教えてくれる」「ほめてくれる」との他者や「あこがれ」(「親分」「兄貴」「師匠」)のごとき他者の存在が大きかった。また、2名の場合は車バスと関係のない旧友(「一心同体」「(昔からの)野球仲間」)も大きな支えとなった。これらの多様な他者をどう捉えるかは次年度も続けて慎重に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するにあたり、23年度の実施状況はおおむね順調とみられる。調査と分析はおおむね計画通りに終えることができた。学会大会等での報告が残されているが、それは次年度以降に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を実施するにあたり、現状では特に問題となる要素は見当たらないことから、ほぼ当初の研究計画調書の通りに研究を進めていく。ただし、24年度、25年度と交付額が少なくなっていくため、調査対象者は23年度の交付申請書に記した通り当初の計画よりも若干減らさざるを得ない。とはいえ、本研究の目的を遂げるために大きな支障はないものとみられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当しない。
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