2012 Fiscal Year Research-status Report
地域振興のための自律型スポーツクラブの経営モデルの構築
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23500758
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平田 竹男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00445868)
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Keywords | スポーツによる地域振興 / スポーツクラブ経営モデル / スポーツマネジメント |
Research Abstract |
成果の1つとして、東洋経済新報社より「スポーツビジネス 最強の教科書」を出版した。多くのデータを基にスポーツビジネスのほぼすべてを網羅し、欧米のプロスポーツクラブやリーグをはじめ、日本のプロ野球、Jリーグ、バスケットボールなどのプロスポーツクラブの経営についても分析した。その上で、ビジネスモデルとして不可欠なトリプルミッションや逆台形モデルの考え方を提示、メディアやインターネット、スポンサー、用品メーカー、スタジアムをも分析し、地域におけるスポーツクラブが自律的に経営するための研究のひとつとしてまとめたものである。 7月から8月にかけてロンドンオリンピックが開催されたが、研究代表者平田竹男は全期間欧州に滞在し、ロンドンはじめ英国各地のスタジアムや競技会場を訪問し、各地会場ボランティア、地域住民、地域スポーツ関係者、スポーツ用品メーカー関係者、スポーツクラブコーチ、金融機関等にインタビューし、地域振興のための自律型スポーツクラブの経営モデルの構築について議論や情報収集を行った。オリンピック期間中にオリンピック会場となったスタジアムを訪問することにより、この様な地域密着性の度合いが、平時よりも大きいことも調査できた。 また、アルビレックス新潟・シンガポールも視察し、経営者や行政側より情報収集を行った。 その他、Deloitteの欧州プロサッカーチームの経営分析資料をはじめとする海外クラブの資料収集および日本国内のクラブチーム経営資料を収集した。 また、日本国内の地方サッカークラブの存在意義、クラブにおける選手育成等についても研究を進め、学会等において発表した。サッカーだけでなく、スポーツビジネスの発展および地域活性化への貢献に鑑み、メジャースポーツへと変貌を遂げつつある水泳、スポーツと国際協力等についても研究発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的達成度は7割程度である。まずは、「スポーツビジネス 最強の教科書」を出版した。スポーツビジネスに関する多くのデータ分析を行い、スポーツクラブの経営に参考となる研究をとりまとめた。 次に、世界的なスポーツイベントとしてロンドンオリンピックが開催されたため、その機会を最大限に利用して、ロンドンはじめ英国各地のスタジアムや競技会場を訪問し、各地会場ボランティア、地域住民、地域スポーツ関係者、スポーツ用品メーカー関係者、スポーツクラブコーチ、金融機関等にインタビューし、地域振興のための自律型スポーツクラブの経営モデルの構築について議論や情報収集を行った。 2011年度に行ったFC岐阜、J-GREEN堺、仙台の楽天野球団における自律型経営のための方策調査や欧州クラブチームなどの情報の資料整理とも併せ、研究の骨子となる部分の検討を進めた。 本研究をまとめていく中で、Jリーグクラブにおけるトップ選手育成に関する研究、地域プロサッカークラブであるモンテディオ山形の研究などの研究発表なども行った。 2013年度は本研究の成果報告の年度であるため、さらなる情報収集に努めつつ、今までに収集した情報の精査と分析をし、社会に還元できる研究報告を成果としてとりまとめ、学会発表などの形を通して報告していく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究のまとめの年度として、2011年度、2012年度に調査、情報収集した資料の整理を行い、本年度も引き続き収集する資料と共に、報告書としてまとめる。 具体的には、収集した海外クラブ数々の資料より経営の成功要因を精査し、それらのクラブマネジメント手法を日本国内クラブの事例と比較検討し、考察を行う。欧米のクラブが発展のため用いたマネジメント手法が、それぞれのクラブ内だけに適用可能な方式にとどまることなく、国内の事例においても応用可能なものであるか、普遍的なものであるのかを検討する。 また、プロサッカークラブの持続成長ビジネスモデルを構築することで、そのビジネスモデルを他種目にも水平展開し、わが国におけるスポーツの発展および地域活性化へと貢献していきたいと考える。 報告書としてまとめた本研究の成果を社会に還元していくためにも、学会等の発表などを通じて成果報告を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究のまとめの年度として、調査・分析結果の整理、論文発表や学会発表などによる成果報告をおこない、本研究の成果を社会に還元するようにまとめていく。 調査・分析の結果として得られたデータや情報を整理し、報告書にまとめるために、科学的検証の基礎研究として、日本国内のみならず海外で発行された文献の入手がさらに必要となる。また、統計的検証を行うため、多くのデータ入力とそれらの統計的な整理が必要となる。従って、それに従事する学生アルバイトなどへの謝金が必要となる。 欧米におけるスポーツクラブの成功要因の一連の研究によって、経営的視点に乏しかった従来型のスポーツクラブに代わって、これからの自立的なクラブ運営を目指す経営者、ならびにスポーツビジネス全般に携わる者にとって有益な視点が得られるのではないかと期待できる。そのため、得られた知見を広く公開するための、印刷製本費が必要となる。
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Research Products
(4 results)