2014 Fiscal Year Annual Research Report
水泳パフォーマンス向上のための浮力・浮心重心間距離の評価と活用
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23500761
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Research Institution | Biwako Seikei Sport College |
Principal Investigator |
若吉 浩二 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 教授 (30191729)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 水泳競技 / 推進力 / 形状抵抗 / 浮心 / 重心 / 肩関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
水泳競技において速く泳ぐためには,推進力を得るだけでなく,抵抗を減らすことが効果的である.水泳中は体の大きさや姿勢によって形状抵抗を受ける.形状抵抗を回避するために水平姿勢をとることが求められる.水中の姿勢には浮心と重心が大きく関係していると先行研究により報告されている.本研究では肩関節の挙上による浮心位置及び重心位置の移動と,それに伴う浮心重心間距離の変化を検証することを目的とした. 被験者は本学水泳部男子9名を対象とした.肩関節下制時及び挙上時それぞれの浮心位置及び重心位置を測定し,それぞれの差から浮心重心間距離を算出した.浮心位置,重心位置及び浮心重心間距離を肩関節下制時と挙上時それぞれで比較した. 肩関節挙上時及び下制時それぞれの差を求めると,全長変化は5.7cm,重心位置の移動は0.94cm,中性浮力時での浮心位置の移動は0.85cm,浮心重心間距離は0.09cm短縮される結果となった.下制時及び挙上時における中性浮力時の手部及び足部にかかる力に違いが見られた.挙上時の手部及び足部にかかる力の差が下制時よりも少ないことから,身体にかかる水中トルクも小さくなっていることがわかる.このことからも,挙上時の浮心重心間距離が短縮されることになる.下制時及び挙上時における中性浮力時の換気量に違いが見られるが,肺内の気量は同じであるため,換気量の違いは残気量の違いによるものと考えられる.呼吸は横隔膜と胸郭の働きによってなされるが,肩関節の動きにより胸郭が影響を受け,残気量に変化をもたらすことが示唆される. まとめとして,肩関節挙上により,浮心位置及び重心位置の両方に頭方向への移動が見られたが,重心位置の移動が大きかったため,浮心重心間距離が短縮された.浮力が大きくなると浮心重心間距離が離れるが,肩関節挙上により全長が伸びることで浮心重心間距離が離れにくくなることが判明した.
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