2011 Fiscal Year Research-status Report
摂取水分の温度と量が体温・循環調節反応に及ぼす影響
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23500769
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
小倉 幸雄 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00300301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 水温 / 水分摂取量 / 飲水 / 脱水 / 直腸温 |
Research Abstract |
高温環境下での運動パフォーマンスの低下および熱中症を予防するために,スポーツ活動時の水分補給の重要性が奨励されている.摂取水分の温度も生体負担度の軽減に有用であることも十分予想されることから,異なる水温の水分を摂取した場合,その水温の相違が運動時の体温・循環調節反応にどのような影響を及ぼすのかを検討した.若年男性を被験者とし気温32℃・相対湿度60%に設定された環境制御室内で5分間の休息と15分間の自転車運動4セットを5回実施した.1回目に無飲水(Control)条件を実施し,この際に測定した総発汗量の80%に相当する水分摂取量を決定し,5℃・15℃・25℃・35℃の異なる4水温条件の自転車運動を実施した.その間,各種の体温・循環パラメータを連続的に測定した. その結果,直腸温の上昇度では,Control条件と比較して5℃,15℃,25℃,35℃条件の順に早期から有意に低かった.発汗量は35℃条件がControl条件および他の水温条件より有意に高かった.また,心拍数はいずれの条件もセット数が増えるにつれ増加したが,その増加程度はControl条件と比較して15℃,35℃条件の運動の後半で有意に低い値を示した.一方,一回拍出量はいずれの条件もセット数が増えるにつれ低下したが,その低下程度はControl条件と比較して15℃条件の運動後半で有意に高い値を示した.心拍出量はいずれの条件も運動を通してほぼ一定に保たれた.収縮期血圧,拡張期血圧および平均血圧は,条件間で有意な差はみられなかった. これらのことから,高温環境下のスポーツ活動時には水分摂取とともに,その水温にも配慮する必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のとおり実験を実施し,データを分析することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は異なる水温による水分摂取が運動時の体温調節・循環調節反応に及ぼす影響について検討したが,そこでは水分摂取量を無飲水時の発汗量の80%を均等に摂取させた.24年度では摂取水温と飲みやすさや飲水量との関連性を夏季のフィールド運動時に検討する.すなわち,水温 vs. 飲やすさ vs. 水分摂取量の関連性は,深部体温や口渇感(脱水)レベルに強く影響されることが予測される.そこで,異なる水温の水を夏季のフィールド運動中に自由摂取させ,飲水を実施する直前に舌下温をサーミスター温度計で,口渇感をスケール尺度で,さらに飲水後に飲みやすさをスケール尺度で推定し,練習中の一回ごとの飲水量および練習前後の体重減少量,総発汗量を測定する.舌下温と口渇感を考慮して運動時の摂取水温と飲みやすさや飲水量との関連性を全体および個人ごとに検討する. さらに,25年度には24年度の実験で見出された個人ごとの水温 vs. 飲やすさ vs. 水分摂取量の関係と23年度の深部体温・総発汗量などのデータに基づき,5℃,15℃,25℃,35℃の水温に応じた摂取水分量を個人ごとに決定し,摂取水分の温度と量が高温下運動時の体温調節・循環調節反応に及ぼす影響を検討予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールド実験のため,屋外環境の温度・湿度の測定機器や,舌下温による体温測定をするためサーミスター温度計を購入予定である.また,研究成果の発表のための旅費や被験者の謝金等に使用する予定である.
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