2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロRNAによる組織酸素センシング機構の修飾作用に関する研究
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23500770
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 淳一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80261379)
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Keywords | 酸素誘導因子 / 血管内皮細胞増殖因子 / トレーニング / 毛細血管 |
Research Abstract |
【目的】運動時の活動筋における酸素分圧は、安静時の10分の1に低下する。この低酸素刺激によって、様々な適応性変化が惹起される。本年度の研究は、持久的トレーニング初期段階における低酸素誘導因子(HIF)-1αとその標的遺伝子の発現動態、およびmicroRNAの関与を解明することを目的とした。 【方法】12週令のWistar系雌ラットを用い、運動群にはトレッドミル走行運動 (25m/min, 15-42min/day, 20% grade)を3,6,10日間負荷した。ヒラメ筋(SO)、腓腹筋の赤筋部位(Gr)、及び左心室(LV)のRNAを抽出し、RT-PCR法によりmRNAと microRNAの発現量を分析した。 【結果・考察】HIF-1αmRNAはSOで3日後、Grで3,10日後、LVで10日後に有意に増加した。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と転写因子PU.1のmRNAもこれとほぼ同様の変化を示した。HIFの分解酵素であるPHD2のmRNAはSOで6,10日後、GrとLVでは10日後に有意な増加がみられた。LVではmiR-20bが6,10日後に有意に減少していた。以上のことから、トレーニング初期段階において、HIF-1αとその標的遺伝子の発現が顕著に増加するとともに、PHD2によるHIF-1αタンパクの分解を促進するnegative feedbackが進行していることが示唆された。また、運動によるこれらの適応性応答には、PU.1の発現増加とmiR-20bの発現抑制が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は、測定機器(リアルタイムPCR装置)の納入が大幅に遅れたが、H24年度は計画通り行うことができた。国際的学術雑誌に原著論文を2編出版することができた。さらに、現在1編を学術雑誌に投稿している。このようなことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
中年期ラットにおいて、低酸素刺激に対する遺伝子発現およびマイクロRNA発現の分析を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度も24年度と同様に実験動物、試薬、消耗品への支出が大半を占めると予想される。
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Research Products
(3 results)