2011 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣や肥満関連遺伝子が内臓脂肪の蓄積に及ぼす影響
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23500837
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小宮 秀明 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (30186811)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / メタボリックシンドローム / 肥満関連遺伝子 / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
生活習慣病の発症基盤として内臓脂肪の過剰蓄積が問題となっている.この背景には脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインが内臓脂肪から多く分泌されることに着目したためである.そのため内臓脂肪面積と生活習慣病との間には強い関連性があることが知られている.またヒトゲノム計画の終了以来,肥満に関係した遺伝子も解明されてきた.これらの遺伝子の変異型では基礎代謝量,熱産生や脂肪分解能に相違が生じることが明らかとなり,遺伝子が関与していることが指摘されている.今回はアドレナリン受容体(β2-AR,β3-AR)と脱共役たんぱく質(UCP1)を用いて,これらの遺伝子変異と内臓脂肪及びその下流に位置する生活習慣病との関連性について解析し,3種類の遺伝因子変異の単独,重複により生活習慣病にどの様な影響が生じるかを明らかにする.併せて生活習慣病発症に対する遺伝子と生活習慣の交互作用について検討を行う.さらに自分の内臓脂肪面積や遺伝子結果を知ることが生活習慣病の予防・改善に繋がるものか事後アンケートから検証を行う.被験者男女とも20歳以上の100名(男性:31名,女性:69名)を対象とした.被験者の選定に際しては既往症及び既に糖尿病,脂質異常症,高血圧症と診断され薬物治療を受けている者は除外した.対象者へのインフォームドコンセントに関しては本学の「ヒトを対象とした倫理規定」に準拠し,十分な説明を行い、同意を得,実施した.CT検査によるX線の被曝については十分な説明を行った.測定項目はCT画像より腹部の内臓面積,筋面積を算出した.肥満関連遺伝子(β2-AR,β3-AR, UCP-1)と血液・生化学検査,形態計測,事前のアンケート調査は運動,栄養,休養,飲酒,喫煙に関する生活習慣に関しては全被験者で実施した.約半年後に健康行動の変容について調査を行ったが数名の欠落が生じた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,被験者数を初年度90名,平成24年度80名,平成25年度80名の予定である.平成23年度は100名の被験者データを収集することができ,予定の90名を上回るものであった.ただし,半年後の健康行動の変容の調査では数名からのアンケートが回収できていない状況であり,可能な限りアンケートデータの回収を行う予定である.被験者数は予定を上回ったが,男女比は圧倒的に女性が多くなったため,次年度には男性の被験者を増やし,性と年齢をうまく調整するように計画を立てる次第である.
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Strategy for Future Research Activity |
測定の概略は平成23年に実施した項目と同様であり,あらたに被験者を追加し実施する.次年度の対象者は80名を予定し,前年度と同様の方法で測定を実施する.測定者の性別と年齢に関しては前年度に女性に偏りが生じたため,偏りが生じないよう,平成24年度と25年度で調整を行っていく.その際,意図的なバイアスが入らないよう性・年齢を層別化し,3年間で少なくとも300名程度の被験者のデータを収集し,統計解析に耐えうるよう測定計画を進めていくことを考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費の1,200,000円に関しては平成23年度より幾分,少ない額であるが,ほぼ同様であり,物品費としてCT検査費,血液生化学検査費,調査研究発表のための旅費,分析に必要な謝金などで100万円の予算をくみ,その他として20万円を予定している.分析に必要な機器は既に現有しているため,物品費の大半は検査費に当てる予定である.
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