2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期家計記録による家計動態と家族経済史の実証的研究
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23500874
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 英子 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 教授 (70352573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 家計簿 / 長期家計 / 家計変動 / 生活様式 / 生活史 / 事例研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、長期記録家計簿を資料に、家計の動態および高度経済成長期以降の生活の変容を明らかにすることである。 平成26年度は、①循環性の観点による生活変容分析、②3つの家計の家計動態の取りまとめを行った。概要は以下の通り:①2つの家計の食生活、衣生活の分析を学会報告し、総括した。高度経済成長期は社会的には生活様式が大きく変化した時期であったが、食生活、衣生活ともに購入内容・購入頻度の変化は緩やかである。生活の中での価値観は変化しにくく、個別世帯の中では生活様式が維持されやすい。この背景には、2つの家計とも妻が専業主婦であり、買物ほか家事時間の確保等時間の面で以前からの生活を維持しやすかったことがあると考えられる。②費目別の各年月別支出の変動係数により家計動態を捉えた。収入変動の大きい農家世帯では、経常費と臨時費をわけて捕捉しており、支出の約3割が臨時費である。臨時費は月別変動も大きく、予定外の事項も含め一定幅の緩衝が必要である。消費支出合計の変動係数は、概ね0.5以下の雇用者世帯に比べ、専業農家世帯では分析対象年の半分以上で0.5を超え月別変動が大きいが、費目別変動係数に比べると安定的である。費目別変動係数は、食料費を除き農家世帯、雇用者世帯いずれも年による振れ幅が大きい。『家計調査』の月別データによる変動係数は消費支出、費目別ともに低下傾向にあるが、個別家計データではそのような傾向は見られず、支出額変動の管理は家計にとって変わらず課題といえる。3つの家計の各年の費目別変動係数の平均値の水準は比較的似ており、いずれも住居関係の変動が大きい。費目別支出の変動への対応を費目別変動係数間の相関関係により捉えた。住居関係は有意な負の相関を示す費目数が他の費目に比べ多い。家計記帳により住関係の支出増加を定量的に把握できるため他の費目の平準化を図るよう行動している可能性が示唆される。
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Research Products
(2 results)