2013 Fiscal Year Annual Research Report
無文字社会の伝承染織技術の保存と学校における教育課程最適化プログラムの開発
Project/Area Number |
23500892
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
下田 敦子 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 助手 (60322434)
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Keywords | 生活文化 / 無文字社会の伝承技術 / 教育課程 / 指導プログラム / 身体技術 |
Research Abstract |
独自の文字を持たないタイ北部山地民(カレン)は口伝と身体技術の模倣により染織技術を伝承してきた。代表者らはこれ迄に、項目反応理論を用いて、染織技術を易しいものから順番に(その最適な年齢において)習得していくタイ文字によるプログラムを開発した。そこで本研究ではこの「習得プログラム」を更に活用して、 1.タイ語教育を受けている世代が、学校教育において染織技術を文字によっても習得できるようにするための「指導モジュール」を試案作成した。これには指導者となるカレン女性ら(染織技術に熟達し、タイ語教育を受けている)も作業にあたった。試案「指導モジュール」の媒体は全て印刷教材(冊子)でありその内容は指導者用の①学習環境の項目リスト、②単元数と単元ごとの指導案、③指導手引書、④マニュアル、⑤実習材料と物品リスト、生徒用の①マニュアル、②自己評価シート、③学習チェックシートであった。 2.次に、試案「指導モジュール」をタイの公立学校(普通科)の正課授業において試行しその効果を検証した。第1期目は6~10月であり20回の実習授業を行った。毎回授業の前後に、指導者(染織技術の熟達者カレン女性)が一定の基準に従って、生徒たちの染織技術の習得状況を計量的に評価した。その結果を基に試案「指導モジュール」を修正し、第2期目(11~3月)の実習授業で用いた。そこでは第1期と同様の方法で生徒たちの技術習得状況を評価し、そのデータから試案「指導モジュール」を再度修正し、最終的な「指導モジュール」を開発した。 3.最終年度には開発した「指導モジュール」の枠組みが、類似した染織技術を伝承するタイ北部の他の山地民社会の学校においても実施可能であるかを探った。タイ北部と国境を接する隣国ミャンマーの東部カヤー州のパダウン社会においても「指導モジュール」の活用可能性について現地教育関係者、染織技術熟達者らと協議した。
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