2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500914
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
黒石 いずみ 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (70341881)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 農村工芸 / 民藝運動 / 工芸指導所 / 副業振興 / デザイン運動 / 教育 / 身体 / 住空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
農村の庶民生活デザインの代表的事例として農村工芸に関する事例研究を行い、歴史的な位置づけを行った。また地域振興などの政治的施策や農村地域の経済状況・社会背景や経済状況との関連性、農村工芸が大量生産や都市への販路拡大のために行った工業化への試みなどについて調査した。併せて日本のデザイン領域が伝統的工芸や美術運動の近代化の過程で生まれてくる状況について文献研究を行った。専門家としてのデザイナーの誕生と国策としての農村工芸振興が並行して行われたこと、農村副業振興や地方の自立を目的とした様々な試みと関連していたことが明らかになった。特に、東北地方の事例については柳宗悦の民藝運動、農林省や商工務省による展覧会事業、工芸指導所と農村工芸の関係を調査し、具体的な成果と影響に関する資料を収集した。建築や美術史・工芸論などで個別に研究されていた事柄の総合的な把握に努めた。 生活デザインの観点から、衣食住の近代化が言説としてどのように論じられ、制度化され、教育に反映されていたかについて、1920年代末から第二次世界大戦期、戦後の復興期にかけての女性雑誌や建築雑誌を参照して検討した。欧米の情報や理念の導入に際しての論理や方法、応用の事例、教育に反映する時の手法と目的とされた効果などに注目して資料を整理した。 主たる研究領域である住空間デザインの変容過程については、まだ十分な把握ができていないが、農村の住まい方そのものの近代化と農村住居に対する研究や問題化の変化の関係を、東北のいくつかの地域の事例について具体的に明らかにすることに努力し、論文化して、その理論的問題の位置づけを行った。 東北大震災以降続けている現地での活動の中で、生活環境の復興の重要さを日ごとに実感しているが、現代の問題と近代化過程の問題の関連性を感じている。主体的創造行為としてのデザイン概念の把握ができたと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究のタイトルに含まれている庶民、生活、デザイン、近代化という概念の意味の広さにも起因しているが、研究の対象を絞り込む際の論理と資料性の説明が必要だと繰り返し感じている。それによる躊躇や拡散が遅れを招いている。また各地の資料収集を行っている際にも、これらの事柄に関する資料があまり積極的に保存されていない事や事例の消滅、あるいは領域として夫々が閉じた扱いを受けている事にしばしば遭遇する。 建築論や歴史が主たる研究バックグラウンドであったために、経済や政治的背景についての知見がまだまだ不足しており、既往研究についても、経済・政治・社会学の領域の物はデザインや生活についての扱いが積極的でないので参照しづらい事が困難を生じている。 2014年度は関連するテーマで単著を出版した。そのための時間とエネルギーが多く必要だったので、調査研究が予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は次のことを行う。 1.日本の近代インテリア史の研究を重点的に行う。国内の事例の資料収集と既往研究の参照だけでなく、海外の状況についても多角的な問題設定で研究し、総合的な把握に努める。2.東北に重点を置いてきた事例の研究を、日本全体の中で位置づけられるように努める。3.衣食住デザインの個別・全体の近代史的位置づけを行う。4.思想的・社会的・経済的視点からのデザイン論の既往研究を抑える事と、自分なりの問題設定を見出すことに努力する。5.建築論だけでなく広い視野に立った住生活デザイン研究を論文などを通して具体化する。6.海外の学会やジャーナルなどを通して発表する。
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Research Products
(4 results)