2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500936
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
高橋 真美 昭和女子大学, 生活科学部, 助教 (10245912)
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Keywords | 紅麹 / パン / 生理機能 |
Research Abstract |
生体内で発生したヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカル といった活性酸素種 (reactive oxygen species; ROS) は、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、あるいは病的な老化などをひき起こすことが報告されている。近年、抗加齢 (アンチエイジング) 医学における予防医学の観点からも食品機能は注目されており、抗酸化機能食品を摂取することで、生活習慣病や各種疾病を予防し、健康の維持・増進への貢献が期待されている。 前年度までの研究成果において、紅麹の食品への応用を検討するためにパンへの応用においては、ファリノグラフ試験およびエクソテンソグラフ試験を検討した。その結果、エクステンソグラフ試験では、紅麹の添加により製パン工程において伸展性と抗張力のバランスの良い生地が得られることが示唆され、紅麹の食品への応用の有効性を確認した。 本年度の研究課題では、生体内における紅麹の機能性成分の有効性について検討するために、脳内の酸化ストレスが高いモデルとして脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット (stroke-prone spontaneously hypertensive rats: SHRSP)を用いた in vivoによる評価を行うことを研究対象とした。このことで新たな抗酸化機能食品の開発に寄与する研究になることが期待できる。さらに、紅麹を応用したパンの実用化に向けた新たな用途拡大および有効活用について明らかにする。紅麹を含有した食品の嗜好特性に関する実験では、「食品の嗜好特性」の実験をヒトの官能評価を中心に研究することで紅麹の有効性を究明する。これらの結果から、紅麹の食品的価値の向上を総合的に明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紅麹の生理機能の実験では、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いて実験を実施した。SHRSPを5週間飼育後の体重変化、血糖値を測定した。5週間飼育におけるControl群は飼育期間内での体重変化は小さく、紅麹添加パンでは飼育2週間後で低下傾向が認められた。また、血糖値の測定では、紅麹の経口投与による血糖値の低下が認められた。3週間後以降は、体重変化においてはControl群と比較して紅麹経口投与群間で有意差は認められなかった。SHRSPの摂餌量の比較では、飼育1週間後ではControl群に比べ紅麹経口投与および紅麹添加パンにおいては摂餌量が減少したが、飼育2週間後および3週間後では摂餌量に大差は認められなかった。 紅麹を含有した食品の嗜好特性に関する実験では、「食品の嗜好特性」の実験はヒトの官能評価にて実施した。被験者は女子学生20~22歳の約45名とし、紅麹を蒸しパンに応用した実験では、被験食を摂食する際の視覚、臭覚、口腔内感覚で6項目の官能評価を実施し、嗜好特性への影響について力学特性と総合的に解析した。紅麹粉末を添加した5種類の蒸しパンを6項目について順位法で嗜好の評価を行った。その結果、添加濃度は高くなるほど紅麹の特有の風味、味質が強くなり、添加濃度が低値ほど嗜好性は好まれ有効性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
紅麹の生理機能に関する実験では、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いて飼育期間5週間における血清分析を実施し、血清総コレステロール低下作用を検討する。特に、紅麹添加パンを摂取したControl群とSHRSPとの比較において紅麹の食品への有効性を血糖値、体重変化、摂餌量との関係に加え、血清総コレステロール低下作用について総合的に究明することは有益であると考える。また、紅麹を含有した食品への応用では、紅麹の食品への添加濃度を低値で検討するとともに、蒸しパン以外の食品への応用も検討していくことで有効性が明らかになれば用途拡大が期待される。 以上の項目について解析を行い、医食同源という観点から、新たな機能性を有する紅麹を用いた食品への応用および総合的に紅麹の生体内における影響について検討することでin vitroおよびin vivoにおける科学的根拠を基盤とした紅麹の機能性食品素材としての有効性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)紅麹の生理機能に関する実験では、血清分析としてコレステロール低下作用を分析する。分析に使用する実験台、器具、試薬を購入する。 (2)紅麹を含有した食品の実験では、蒸しパンに加え、他の食品への応用を検討する。分析試料としてパン材料、紅麹を購入する。実験試料を保存するための冷凍・冷蔵するために必要な消耗品を購入する。 (3)紅麹の抗酸化能に関する実験では、食品への応用について検討するための試薬を計上する。 (4)平成25年度が最終年度のため、各実験項目の研究成果を総合的に究明し、多くの学会で積極的に発表・投稿を行う。そのため、学会の旅費、投稿料を計上する。
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Research Products
(1 results)