2012 Fiscal Year Research-status Report
健康生成モデルにもとづいた食嗜好と偏食の機序に関する研究
Project/Area Number |
23500945
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 佳子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30435052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 誠 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (40203393)
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Keywords | 偏食 / 食嗜好 / HR-QOL / 健康生成論 |
Research Abstract |
平成24年度の研究の目的は、味覚感受性は食の嗜好モデルに影響を与える要因であると仮定し、味覚感受性とモデルとの関係について検討しモデルの精緻化を行うことであった。 平成23年度に引き続き、食嗜好を測定するための二つの尺度の開発を行った。一つは偏食行動を測定する尺度であり、もう一つは偏食に関連する食嗜好を測定する尺度であった。調査対象者は、大学生920名であった。 味覚感受性が高い者は、食嗜好に偏りがあると仮定していたことから、自分の味覚感受性(味、におい、食感)について主観的評価をさせたが、偏食に関連する食嗜好との関連性はみられなかった。そこで、官能評価による味覚感受性を測定方法について検討した。甘味についてはシュークロース溶液を、酸味についてはクエン酸溶液を、塩味については食塩水を使用し味覚感受性を測定することとした。現在、50名の大学生から、官能評価による味覚感受性、偏食行動およびSOCに関するデータを得ている。引き続き、データを収集する予定である。 また、475名の大学生を対象に偏食と健康な食生活を送ることに対する動機づけとの関連性について調査した。その結果については、現在検討中である。 さらに、平成25年度の研究目的である生理的指標を用いて生理心理学の立場から偏食の認知過程と感情に関する考察を深めるための、予備実験も行った。当初は、脳波を測定する予定であったが、対象者に対する行動の制限が軽微であるfNIRSを利用する環境に恵まれたので、fNIRSを利用し人が受容的となる甘味溶液と人が回避的となる酸味溶液に対する反応について検討した。 大学生は、保護者からの自立により食生活も自立期にあるが、中年期以降に深刻化する生活習慣病の入り口でもある。よって、大学生の偏食行動の特徴について一定の示唆を得たことは、生活習慣病予防にとっても重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
味覚感受性と食嗜好モデルの関係を検討する方法を確立し、一定のデータを得ることができたが、さらに多くのデータを得たいと考えている。データの収集に若干時間がかかっているものの、同時に、平成25年度の目標である生理的指標の測定についても予備実験を行うことができたことから、研究はおおむね順調に進展しているととらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
味覚感受性と食嗜好モデルの関係に関するデータの収集を引き続き行うと同時に、平成25年度の目的である生理的指標の測定について、実験方法を確立したい。 また、平成24年度の研究から、野菜に対する偏食が一つの因子として抽出された。野菜の摂取は、健康日本21においても課題とされていることから、平成25年は、野菜に対する偏食に焦点を当てたいと考えている。そのために第1段階としては、野菜に含まれる酸味を想定し、酸味に対する反応を中心に見ていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生理的指標を測定するための消耗品、国内外での学会での研究成果の発表、データ入力、学会誌発表のための英文校正謝金などに研究費を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)