2011 Fiscal Year Research-status Report
ムクナ種子の抗パーキンソン病および抗酸化性に関する機能評価
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23500992
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Research Institution | College of Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
古庄 律 東京農業大学短期大学部, 栄養学科, 教授 (50238680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 裕 東京農業大学短期大学部, 栄養学科, 教授 (60248937)
谷岡 由梨 東京農業大学短期大学部, 栄養学科, 助教 (30553250)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ムクナ / 抗酸化能 / パーキンソン病 / L-dopa |
Research Abstract |
1.ムクナ種子のin vitoro試験による抗酸化能評価 ムクナ種子を生豆、温水中に浸漬後煮熟、蒸煮、高温高圧処理し、凍結乾燥後に粉砕したものを試料とし、in vitroの抗酸化活性の指標であるDPPH消去活性の測定、およびヒト肝実質細胞由来FLC7細胞を用いH2O2を添加し、ムクナ抽出物の終濃度が2μMとなるように培地に加え、細胞の生存率を算出した。実験の結果、ムクナ生豆のDPPH消去活性は20.8mmol Trolox/100gに対し、浸漬+煮熟処理した場合は、12.17 mmol Trolox/100g、蒸煮あるいは高温高圧処理した場合は14~17 mmol Trolox/100gだった。FLC7における抗酸化能については、過酸化水素濃度10μMの時にムクナ(111.3%)またはL-Dopa添加群(110.9%)が無添加群(87.8%)に比べ生存率の高い結果となった。2.STZ糖尿病ラットを用いたin vivo試験によるムクナs種子の抗酸化能評価 SD系7週令の♂ラットをムクナ群、L-dopa群、Control群に分け、8日目にムクナ群、L-dopa群、およびControl群の半数(以降STZ群)にSTZを尾静脈投与して1型糖尿病を誘導した。その後18日目に解剖し、血清、肝臓、脳、腎臓、膵臓中の過酸化脂質(TBARS)量、および血清中グルコース濃度の測定を行った。その結果、血清、肝臓、脳、腎臓中の過酸化脂質量はSTZ群>L-dopa群>ムクナ群>Control群の順になった。膵臓についてはControl群以外の3群間に差が見られなかった。また、血清中グルコース濃度もControl群以外の3群間に差が見られなかった。 以上の結果から、in vitro、in vivoにおいてムクナ種子には抗酸化活性を持つ成分が含まれていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ムクナ種子のin vitoro試験による抗酸化能評価 DPPHラジカル消去活性測定およびヒト肝実質由来細胞を用いたin vitoro試験により結ムクナ種子抽出物に由来する抗酸化能を評価した。2.STZ糖尿病ラットを用いたin vivo試験によるムクナs種子の抗酸化能評価 STZ糖尿病ラットにムクナ種子を加熱処理して可食性を持たせた飼料を摂取させin vivo試験によりムクナの抗酸化能を評価した。1および2の研究内容は当初計画したもので、研究仮説であるムクナ中に多量に含まれるL-dopaの抗酸化性によるものと推察される。このことから、研究開始年度に達成すべき研究はおおむね順調に進展し、また一定の研究成果を得たものと評価している。ただし、研究結果については再現性を確認するための追試験が必要であることから、これについては引き続き次年度に実施しなければならないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は当初の研究計画に対して概ね順調に遂行されたことから、予定通りにMPTPをラットに投与しパーキンソン病モデルラットを作成し、パーキンソン病の3主徴および中脳黒質神経細胞の白質化に及ぼすムクナ種子摂取の影響について検討する。また、ヒト神経芽腫由来SH-SY5Y細胞を用いて内在性カテコールアミン作動性神経毒でパーキンソン病動物モデル作成に広く利用される6-OHDAを添加して細胞に酸化ストレスを与え、これに対するムクナ種子抽出物の抗酸化性の効果を検討する。 一方、パーキンソン病に対する効果が期待されるムクナを栽培品種として拡大するためには、可食豆として利用するだけでなく、様々な加工食品への応用が必要である。このことから、24年度は発酵食品を製造して食味等についての検討を行うと同時に、製造中のL-dopa量の変化を測定する。 なお、23年度に実施したin vivoおよびin vitro試験についての再現性を求めるための追試験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度研究費は80万円を予定している。研究費の使用計画として以下の3研究課題について配分する。(1)パーキンソン病モデル動物を用いたムクナ種子摂取の有効性の解明(65万円:実験動物購入費、実験動物飼育施設利用費、生化学試験試薬購入費、実験器具購入費)、(2)パーキンソン病モデル細胞を用いたムクナ種子の抗酸化機能を解明(10万円:細胞購入費、試験試薬購入費)、(3)ムクナ種子を利用した発酵食品の製造および発酵過程中の成分変化の測定(5万円:麹等副材料購入費用、成分分析用試験試薬購入費用) これらの課題は当初研究計画に基づくものであり、研究費の配分割合は研究分担者のエフォートを反映させていることから妥当性のある使用計画である。
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