2011 Fiscal Year Research-status Report
リンゴ果実プロシアニジン類の動脈硬化予防とその作用機構の解明
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23500996
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
庄司 俊彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (90582510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 富智 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20261456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | procyanidin / apple / 3T3-L1 cell / RAW246.7 cell / 動脈硬化予防 |
Research Abstract |
欧米の疫学研究から果実摂取が心疾患を予防することが報告されている。そこで、リンゴ果実中の機能性成分であるプロシアニジン類(ACT)の動脈硬化予防効果をマクロファージ系RAW246.7細胞および脂肪細胞3T3-L1細胞の培養細胞および動脈硬化のマウスモデルで評価し、ACTの構造と効果の関係やその予防機構を解明することを目的に実施する。 リンゴ果汁から調製したプロシアニジン画分を既報に従い重合度別に分離した。RAW246.7細胞および3T3-L1細胞を酸化LDL存在下で培養した際に、各種サイトカイン産生に与える影響を検討するため、酸化LDL添加量、培養時間などの条件検討を行い、評価系構築を実施している。 一方、動脈硬化の発症初期段階では、酸化LDLを取り込んだマクロファージではアポトーシス誘導を抑制するAIM(apoptosis inhibitor of macrophage)遺伝子が発現し、泡沫化(不死化)による細胞死が抑制されていることが報告されている。そこで、ApoE欠損マウス(C57BL/6.KOR -Apoeshl)およびC57BL/6マウスを用い、ACTのAIM遺伝子発現に及ぼす影響を解析した。その結果、腹腔動脈では、対照水投与のApoE欠損マウスにおいて高脂肪食負荷によりAIM遺伝子の発現が上昇したが、ACT投与によってAIM遺伝子発現の上昇がコントロールレベルまで有意に抑制された(p<0.05)。同様の傾向はC 57BL/6マウスでも認められた。また、肝臓においても、腹腔動脈と同様にAIM遺伝子発現が有意に抑制されたことから脂肪食負荷によるマクロファージの不死化をACT摂取によって抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は震災のためリンゴ果汁の調製やプロシアニジン類分画が遅れ、細胞評価の構築や動物試験の実施に影響した。特に、動物試験では、12週間以上試料を摂取させる必要があり、AIM遺伝子発現以外について十分な検討ができなかった。次年度では、この遅れを取り戻し、計画通りに研究を遂行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
RAW246.7細胞および3T3-L1細胞を酸化LDL存在下で培養し、各種サイトカイン産生に与える影響を検討するための評価系構築を引き続き実施するとともに、ACT構造とTNF-α、アディポネクチン、IL-6などの各種サイトカイン産生を評価する。また、細胞間のパラクライン応答を評価するため共培養での評価系を検討する。 動物試験では、AIM遺伝子以外の泡沫化に関連する遺伝子発現を検討するとともに、血中酸化LDL量、肝臓組織のプロシアニジン量や重合度を測定し、ACTの構造との関係を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり、物品費・旅費に使用する。なお、次年度使用額471,291円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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