2013 Fiscal Year Annual Research Report
FUMIEテストを用いた生命尊重意識変化に及ぼす動物飼育・解剖教育の影響評価
Project/Area Number |
23501010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 雅彦 信州大学, 教育学部, 准教授 (30221998)
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Keywords | 理科教育 / 動物愛護 / 動物解剖 / 外来生物法 / 動物飼育 / 生命尊重 / 心理テスト / アンケート調査 |
Research Abstract |
実際に動物と触れあったり,動物を解剖し体内を観察した経験を持つ子供が年々減少している。愛玩動物だけでなく,一見不快な印象を持ちがちな生命についても,より深く知り,生命の尊厳や,多様な生物が存在することの重要性について明確な意識を持った子供を育むのは理科教育の大きな目標の1つである。本研究では,動物飼育・動物解剖体験が,子供達の生命に対する意識変化を生ずるか調査することを目的とした。 最終年度では,中学校3年生「遺伝の規則性」単元で,キイロショウジョウバエを実際に飼育し,遺伝の数量的取扱いを行う中で,ハエに対する意識変化を調査した。実際にハエを飼育した生徒も,飼育しなかった生徒も,授業前調査でほとんどの生徒が「ショウジョウバエは果物に寄ってきて,舐める迷惑な生物だ」と回答した。ところが授業後,ショウジョウバエの飼育を体験した生徒の多くが「ショウジョウバエは遺伝の理解など,とても人類の役に立っている」と回答が変化したのに対し,飼育していない生徒では,このような回答の変化を示さなかった。FUMIEテストで「ハエ」をキーワードとした好嫌度調査でも,ハエ飼育生徒ではIAS値が授業後増加し,好む方向への変化を示したのに対し,飼育なしの生徒では,IAS値は変化しなかった。 ウシガエル解剖体験によって,中学校生徒の生命尊重意識が変化するかの調査結果を,平成24年度に報告したが,調査受入校の方針のため同一年度で実施できなかったため(実験群は23年度,統制群は24年度),最終年度では,同一年度で実施できた別の調査校のデータも解析した。平成24年度研究実績の概要で述べた結果は得られず,FUMIEテストで「命」をキーワードとした好嫌度調査では,解剖を行った生徒のIAS値が授業後減少し,嫌悪方向へ変化したのに対し,解剖なしの生徒では,このようなIAS値の変化は見られなかった。
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