2012 Fiscal Year Research-status Report
日本語プログラミング言語による科学リテラシー獲得を目指した情報教育の実践的研究
Project/Area Number |
23501036
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
山田 耕太郎 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20353120)
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Keywords | 日本語プログラミング / 情報教育 / 科学リテラシー / なでしこ |
Research Abstract |
日本語プログラミング言語「なでしこ」からPhidgetsと呼ばれるセンサー群を利用するためのライブラリ開発を行った。このライブラリを使うことで,センサーによる計測や制御を体験的に学習し,日常的な物理現象を定量的に観測するための教材がなでしこで開発できるようになった。そのような教材例として,反射型赤外線センサーで物体検知を行う振り子の周期測定プログラムをなでしこで実装し,普通教室での演示実験を想定した簡易な装置で周期測定を行った結果,理論値と100分の1秒程度の誤差で測定値を得ることができた。 なでしこは日本語でコードが書けるという,プログラミングの初学者に対する心理的な敷居の低さや,事務処理を自動化するコマンドの充実,PC本体へのインストールが不要等の利点を活かした授業展開を行うことによって,文系学生もプログラミングに興味を持ち,コンピュータの仕組みの理解につながるなどの成果が得られてきた。その一方でなでしこは,ハードウェアの制御等を行うコマンドがほとんどなく,センサーによる計測や制御は困難であった。本研究で開発したライブラリはなでしこの利点を保持したまま計測や制御を容易に行えるようにしたもので,これまでの成果をより一層発展させることができるようになった。 平成24年度の研究成果は,広島県物理教育研究推進会主催の「明日から使える理科教材ワークショップ(IX)―第17回物理教育研究会―」において「日本語プログラミングで力学を学ぶ ~センサーを使って~」というタイトルで出展し,振り子の周期測定をデモンストレーションした。また,教育システム情報学会において「日本語プログラミングでセンサーを利用する情報教育のための教材開発」というタイトルで講演を行い,開発したライブラリの紹介と幾つかの教材例を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
なでしこによる物理教育教材の開発とPhidgetsを使ったフィジカルコンピューティングの導入は,なでしこからセンサーを利用するライブラリの開発によって達成できている。しかし当初の計画では,これらの教材をWebアプリケーションとして利用することを想定していたが,昨年度の研究過程において,なでしこをWebアプリケーションとして利用するための環境である「葵」が教育ツールとしての実用に耐えないことが判明したため,葵を使わずに教材をWebアプリケーション化することが課題として残っている。 この課題に対し,なでしことPhidgetsの間で直接ネットワーク通信できるライブラリの開発を行ってきたが,想定した通りの動作が得られておらず,別の方策の検討を行うなどしているため,進捗はやや遅れ気味となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
なでしこからPhidgetsを利用するライブラリの開発により研究が大きく進展したものの,教材のWebアプリケーション化が課題として残っている。この課題が解決すると,本研究を推進する上での技術的な問題がほぼ解消することになるため,その解決に注力する。現在までなでしことPhidgetsで直接ネットワーク通信を行うためのライブラリの開発を行ってきており,特にソケット通信を使う方式での実装を進めていたが思うような動作が得られないため,今後はPhidgetsのセンサー値をネットワーク通信で取得するための電子基板を購入し,基板をなでしこで制御するライブラリの開発に切り替えることにしている。 授業実践では,既に開発済のライブラリを使った物理教育教材やフィジカルコンピューティングの導入による教育効果を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に約350,000円を繰越すこととなった。主な原因はライブラリの開発が年度の後半で一気に進んだことで,印刷を予定していたテキストの内容変更が年度内に終わらず,次年度へ先送りしたことと,成果発表を行う学会が近県の日帰りとなり,ほとんど出張費を伴わなかったためである。次年度は先送りしたテキストの印刷や授業実践をまとめた報告書作成などで繰越分を消化することになる。また,当初予定していなかったネットワーク通信用の電子基板の購入が必要となったため,これも繰越分からの支出となる。 Phidgetsのネットワーク通信用基板の購入やそれに伴うライブラリの開発など,当初の研究計画から若干の変更が生じたものの,繰越金によって対応できる軽微なものであるため,ほとんどの費目において使用計画の変更はない。よって次年度は交付予定額の1,000,000円(直接経費)を増減せずに研究を推進する。
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Research Products
(2 results)