2011 Fiscal Year Research-status Report
スマートecoエナジーライフに関する科学教育用実験装置の開発
Project/Area Number |
23501039
|
Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 洋 仙台高等専門学校, 電気システム工学科, 准教授 (80302230)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ピコ水力発電 / アキシャルギャップ型発電機 / インバータ回路 / 非接触給電 |
Research Abstract |
再生利用且つクリーンなエネルギー源及び普段の生活で見過ごして捨ててしまっているエネルギー源として,本研究では水道の水の流れに着目したピコ水力発電システムの研究開発を進めている。まずは啓蒙を兼ねた教材として透明アクリル材を加工して試作した小型簡易水車と,市販モータと増速歯車を利用した発電機を組み合わせ,水の流れの(位置,運動,圧力)エネルギーと発電エネルギーの基礎検討を行なった。負荷特性,流量特性,水圧の影響など細かく調査し,高効率・高出力化に向けて,水車の改善および水車の低速回転に適応する発電機の開発が必須であることが明らかとなった。JMAG Designerを新規に導入しピコ水力発電用の発電機を設計・解析した。ダイレクトドライブ方式のアキシャルギャップ型ブラシレス発電機の構造であり,水車のケーシングに納まる仕様を検討している。 電磁変換教材として,上述の発電機とモータは同じ構造でありモータとしての検討も可能である。電気乗用車の動力としてタイヤとモータを直結したインホイールモータの研究が進められているが,アキシャルギャップ型の電磁変換は一般的に十分知られていない。そこで本研究では,アキシャルギャップ型の簡易電磁変換教材を試作し,その発電特性とモータ特性の基礎検討を行なった。試作した教材は構造的な強度が得られず十分な出力が得られなかったが,安定した発電特性とモータ出力が得られた。現在,構造を強化したアキシャルギャップ型モータの試作を行なっている。 研究協力者と進めている非接触給電ステーションの研究は,電磁誘導方式による非接触給電方式をとり,1次コイルと2次コイルの特性評価,電力伝送特性,コイル間のずれやギャップによる影響,周波数特性,負荷依存性などの基礎検討,および発振電源としてのインバータ回路の開発を進めている。 研究成果概要はスマートグリッド展2012で発表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は,3.11に発生した東日本大震災の影響により,既存設備である太陽光・風力ハイブリッド発電装置の故障・修理の対応により,本装置によるエコ発電データ収集が十分行えなかった。また実験設備,実験環境の復旧に大変時間を要し,研究計画に沿った実験を進めることが大変困難であった。したがって,研究の目的に対しその進捗はやや遅れている。 その中で研究の軸を,家庭内で普段見過ごしている水流がもつエネルギーを収穫し電気エネルギーに変換する「ピコ水力発電システム」の研究開発においた。小型簡易模型を用いた水車と発電機の検討を進め,ピコ水力発電システムの水車の回転に適応する発電機の早急な設計・開発を進めることを必須課題としてあげた。その設計開発ツールとしてJMAG Designerを導入したが,それをインストールする計算機の不調・故障のため時間を要し,これも研究の遂行を遅らせる一因となった。 震災から1年が経過し,研究環境も復興してきたことから,2年目は初年度の遅れを取り戻すべく研究を進める必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
エコ発電について,前年度の課題を継続して検討するとともに,設計した超小型水力発電装置を試作し,水量・流量と発電量のデータ解析,基礎特性の検討を進める。エコ発電データを解析し,エコ発電の課題を提示する。風力,太陽光,水力発電装置より得た電力及びその発電状況データを収録するとともに,これらのシミュレートする電源からの電力を給電ステーションへ送る装置の検討を進める。 電磁変換教材について,前年度の課題を継続して継続するとともに,電磁エネルギー変換教材を試作し,その「電気→動力(モータ)」,「動力→電気(発電機)」の完成度を高める。モータとしての利用は電気自動車に,発電機としての利用は風力・水力発電機へと繋げる予定である。 非接触給電ステーションについて,前年度の課題を継続して検討するとともに,非接触給電システムの完成度を高める。1次コイルへ給電する発振電源,インバータ回路の開発を行い,電力供給側のシステム構築を進める。 今後の目標は,以上のエコ発電による電気自動車の非接触給電ステーションのモデルを構築する。エコ発電によるさまざまな給電ポイントを設置した市街地を模擬するコースを作製し,スマートecoエナジーライフの啓蒙に繋げる。この成果は10月に開催する高専祭で発表予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ピコ水力発電システムの水車および発電機は,新たに設計・開発を進める必要があり,またモータや発電機の動作確認と基礎検討には,実機試験の前にモデル計算等をおこない設計指針をたて開発を進める必要がある。次年度もピコ水力発電システムの試作検討のため,各種部品の消耗品費を計上し,さらにMATLABによる計算・設計・解析,LabViewによるデータ収録・解析など,研究を遂行する上で必要な設備の購入にも充てる予定である。 一方,研究成果の広報および情報収集のため,学会への参加や企業訪問,打合せなどに向けた出張費にも充てる予定である。学外の広報として,これまで参加してきた「日刊工業新聞社主催 スマートグリッド展」や「びわ湖環境ビジネスメッセ」などの展示会にも積極的に参加する予定である。
|
-
[Presentation] 宮本素紀,山田 洋
Author(s)
振動力発電にむけた発電セルの基礎検討
Organizer
平成24年東北地区若手研究者研究発表会
Place of Presentation
仙台高等専門学校広瀬キャンパス
Year and Date
成24年3月9日
-