2011 Fiscal Year Research-status Report
産・官・学の連携による緑地保全ボランティア活動拠点づくりと環境教育ツールの開発
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23501076
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
橋田 祥子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究員 (30398903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治屋 亮一 明治大学, 理工学部, 准教授 (60062014)
小池 義和 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30251672)
安田 明生 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特任教授 (00023250)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 環境教育 / 産学官連携 / 緑地保全 / ボランティア / 市民参加 / 環境測定 / GPS / ホームページ |
Research Abstract |
2011年度には、芝浦工業大学、明治大学、明星大学、日本大学、東京大学の各大学の教員と学生がボランティアで参加する「緑地保全・環境教育ボランティア研究会」を発足させ、研究活動を開始した。そして以下のような環境学習用プログラムを作成した。(1)緑のカーテン及び樹林の環境緩和効果を学ぶプログラム:2010年度夏季に日野市立旭ヶ丘小学校の校庭にある学校林と、2011年度夏季に日野市立日野第一中学校の緑のカーテンにおいて気象観測を行い、結果から「樹林の環境緩和効果」と「緑のカーテンの環境緩和効果」を明らかにした測定結果をデータベース化し、緑の効果が視覚的にも定量的にも理解しやすいデータベースを作成した。(2)ホームページを用いた、対話型の樹木マップの作成ツールの開発:本ツールは、YAHOOマップ上に樹木の位置を表示すると同時に、GUIを考慮してHP画面上で文章等の編集が可能であり、実際に撮影した写真を編集して画面と対話しながら植物図鑑が作成できるツールである。(3)リモートセンシングデータとGISを用いた日野市の緑のマップの作成:リモートセンシングデータからNDVI値に基づき、緑を抽出し、教師付分類によって、日野市の土地被覆状況を、植生(緑)、裸地、水面、住宅地、コンクリートに分類して、その変遷を調べ、日野市における土地被覆の変遷が分かるマップを作成した。この結果から、経年によって住宅地が増大し、都市内の緑が減少している傾向が明らかになった。(4)小型GPS-環境測定装置の開発:本ツールは、GPSで測位しながら、その場の環境を移動観測できる装置であり、GPS付カメラ携帯と併用することにより、植生調査と環境測定を同時に行ない、結果をYAHOOマップ上に表示して視覚的なマップを作成することができる環境学習ツールである。本ツールは、小中学生や市民と学生が協働で取り組む環境教育や緑地保全活動に応用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度、「緑地保全・環境教育ボランティア研究会」の測定を担っている明星大学緑地保全ボランティアサークルクローバーは、日野東光寺緑地において環境測定や保全活動を実施し、その成果で東京都公園協会賞奨励賞を受賞した。このようにボランティア活動の面では地道に成果を上げている。しかし、測定結果から緑のカーテンや樹林の環境緩和効果を学ぶ環境教育プログラムを作成するには、現在環境測定で得られたデータは2011年度の8月に10日間程度実施した測定データにとどまるため少なすぎる。環境教育プログラムを作成するためには、1年間の通年の長期測定データが必要である。また、(2)ホームページを用いた、対話型の樹木マップの作成ツールの開発については、システムは確立でき、同様に本ツールを用いて様々な場所の植物マップを作成することが可能になった。今年度は本ツールを応用して日野市内の小中学校で校庭樹木マップの作成を試みる。また、昨年度に作成した明星大学構内樹木マップの写真をオリジナルにするために、明星大学構内において植物の写真撮影や昆虫等の動画撮影を行ない編集しなおす作業に取り掛かる。(3)リモートセンシングデータとGISを用いた日野市の緑のマップの作成については、一連の作業工程は確認済みだが、今後は作業を小中学生向けに分かりやすく解説を付加し、小中学生が自ら緑のマップを作成できるようなプログラムに編集する。(4)GPS-環境測定装置の開発は、環境教育用ツールとして,子機となる位置,温度、湿度,UV,日射,が測定可能な装置と親機となる市販のAndroidタブレット端末を組み合わせることを提案した。今年度は子機の開発が終了し,親機で子機とデータの通信及び地図表示が可能なソフトを開発している。データの通信は市販のAndroid端末に標準で装備されているBluetoothを用いることとしており,データの通信は確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)緑のカーテン及び樹林の環境緩和効果を学ぶプログラムについては、明星大学構内の樹林内に長期気象観測ステーションを設置し、長期測定を開始してデータを収集する。また、日野市東光寺緑地内で月1回、気象観測を行って、データを蓄積する。さらに、日野第一中学校の緑のカーテンの温熱環境測定を中学生と協働で実施して、データを蓄積することに取り組む。(2)ホームページを用いた、対話型の樹木マップの作成ツールの開発については、南平丘陵公園、旭ヶ丘小学校、日野第一中学校における樹木マップを作成することと、明星大学を対象として作成した「明星大学植物マップ」の検証及びオリジナルな植物写真や昆虫の動画の撮影を行い質の向上を図ることに取り組む。(3)リモートセンシングデータとGISを用いた日野市の緑のマップの作成については、現在は、土地被覆図の作成まで進んでいるが、今年度にはこの図を下図として、「日野市の緑地保全マップ」を作成するために、日野の自然と守る会と協働で、明星大学構内の植物調査や日野市南平丘陵公園における植物観察会でも調査を実施して、調査結果をマップに追加してゆく作業に取り組む。(4)小型GPS-環境測定装置の開発については、2年目には、受信したデータを地図上に表示可能なソフトを完成させる予定である。今年度は実際にこの小型ツールとGPS付カメラを併用して、市民参加で植物調査を実施することに取り組む。今年度はそれらを実際に用いて明星大学構内や、南平丘陵公園、日野市東光寺緑地等で環境測定と植物調査を実施して、結果をホームページ上で可視化することに取り組む。さらに、(1)~(4)の内容を、小中学生向けに解説して、環境教育プログラムとして活用できるものにすることを最終目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用目的として主なものは、「緑地保全・環境教育ボランティア研究会」のホームページを作成して、研究成果及び開発した環境学習ツール、環境教育プログラムの説明や環境測定結果のデータベースをすべて閲覧可能にすることと、「日野市の緑のマップ」、「明星大学植物マップ」等の写真撮影や動画撮影等を実施し、環境学習に用いるサイトとして充実させることである。当初は、ホームページの製作を業者委託等を想定していたが、当該作業を外注することをせず、その予算をホームページ制作のためのコンテンツの充実(動画、植物の接写写真等)に充てる。そのため、次年度の研究費の使用計画としては、ホームページ作成に要するソフト購入、デジカメ(GPS機能付き)購入、一眼レフカメラ等の購入を予定している。その他、学会発表としては日本建築学会、日本環境教育学会、日本土木学会環境システム委員会等への参加を予定しており、論文発表としては、日本土木学会環境システム委員会の査読論文に提出中である。
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Research Products
(7 results)