2011 Fiscal Year Research-status Report
化学実験レポート作成における「相互評価表」を活用した表現力育成に関する実証的研究
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23501087
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
後藤 顕一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (50549368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 静郎 桐蔭横浜大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50132692)
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 化学教育 / 相互評価表 / 高等学校 / 表現力 |
Research Abstract |
本研究は、PISA・TIMSS調査といった国際標準の学力を意識し、新学習指導要領に向けた、学習プログラムについて研究であるため、学習指導要領の評価などに直接かかわっている教科調査官や専門委員、PISA調査やTIMSS調査といった調査に直接かかわっている国立教育政策研究所の所員を中心に研究体制を組織した。本研究の責任を研究代表者が努め、共同研究者が共に本研究を遂行し、その他連携研究者には、教科調査官、大学などの研究者がこれに協力する体制とした。 組織体制を基に、「相互評価表」を用いた新学習指導要領に沿った具体的な化学実験学習プログラムの開発を行った。プログラム開発は、定性実験だけではなく、定量実験についても扱い、研究で明らかにすべき枠組みを明らかにした。明らかにすべき枠組みとしては,能力・資質を規定するとともに,それをさらに具現化するための手立てを国際的な研究や国内での先行事例などを基に明らかにしていった。開発した学習プログラムは、連携協力校において可能な部分についての試行実践を行った。試行実践は、埼玉県立A高等学校、および千葉県立B高等学校で行った。A高等学校では、理科課題研究における問題解決的な実験観察のプログラムを開発実践し、得られた示唆として取組が表現力の育成に寄与することとともに、高等学校の課題研究においても協働的な取組が有効であることであった。。試行実践で得られた知見は、科学教育学会全国大会で報告した。また、B高校では、グラフを用いた試行実践を行った。学業成績が優秀な生徒であっても実験結果をグラフにしていく作業やそれを解釈する力がついていない現状が明らかになった。取組により是正が図られ,表現力が育成できる可能性が示唆された。成果は理科教育学会全国大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であったカリキュラム開発を行うことができ、仮の枠組みの作成が出来たとともに,試行実践を行うことができた。また、協力体制も構築することができ、中等教育段階化学分野の実験観察事項の検証することを目的が遂行できている。組織として、専門委員として、文部科学省、大学関係の専門家をはじめ学習指導要領の関係者、理科教育研究者、研究に協力する各都道府県の指導主事、教育現場(中学校・高等学校教員)との連携関係を構築することができ、拡大的な専門委員会を組織できた。また、委員会において中等教育段階化学分野の実験観察事項の検証が可能となった。この組織を基に、「相互評価表」を用いた新学習指導要領に沿った具体的な化学実験学習プログラムの開発を専門委員会でおこなう事ができただけでなく連携協力校においてすでに試行実践を行うことができた。また、イギリスで長年GCSEを研究、実践してきた実践者と協働的な研究体制を組むことが可能となり、また、国際バカロレアを実践している学校の理科教員とも協働的な研究体制を取ることができ、さらにそれぞれで研究推進のための知見を十分得ることが可能となった。研究の目的はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
試行実践よりあげられた問題点は再度研究組織での検討を行い、24年度の調査実施に向けた修正・検討を深め、研究で明らかにする枠組みを確定していく。開発、修正した学習プログラム、評価の枠組みは、協力校での試行授業を受けて、さらに再度専門員会で検討を重ねた後、協力の得られる中学校、高学校、教員養成系の大学生、教育センターで本格的な実践をおこなう。学校においては、年間にわたる学習プログラムの取組を計画しており、年度当初に教師と生徒のアンケート調査、学習プログラム実践時における「相互評価表」の調査、情報技術を活用した実践の調査、実践後には生徒の知識理解、枠組みをもとにした表現力や学習意欲についての調査をおこなう。また、実験観察授業の実践時においては、話し合い活動でのプロトコル分析も並行して実施する。年度末には、実践後に教師と生徒のアンケート調査をおこなう。年度当初のアンケート結果は、直ちにデータを分析し、年度当初の生徒の実態を明らかにすることとする。 また、学習したことがらを正しくつかみ取らせ、表現をさせるような基礎的な訓練から始まり、定量的な実験の処理、表現法に至るまで、知識理解、表現力や学習意欲がどう変化するか、どのような資質能力が必要なのかについての分析を進める。実践の分析を行い、必要に応じてインタビュー調査を取り入れる。話し合いと、相互評価、理解や学習意欲のそれぞれ関係を統計な分析と、質的な分析を交えながら総合的にまとめ上げ、学習プログラム効果、課題を専門委員会で再確認し改良に努めていく。また、ICTの利用による効果、課題等もより明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外の特に効果が上がっている取組に関しては、現地への訪問調査を実施し情報収集を行うこととしているが、海外の調査対象は、PISA調査やTIMSS調査で科学技術への興味関心と学力の両面において良好な結果を示し、人材育成や情報技術の活用において、特徴的な施策を展開し、平成23年度の文献調査で特に資質・能力を中心に教育課程を編成し、一定の成果を上げていると考えられるニュージーランドやオーストラリア、イギリスや韓国、米国について注目し、現地調査を含めて学校での実態をまとめていく予定である。そのため海外の渡航費が必要となる。また、試行実践をさらに深めるために、必要な物品等の購入が必要となる。さらに、研究はアクションリサーチの手法を用いるため国内の移動のための旅費が必要になる。また、研究で明らかになったことについては早い段階に公表し、成果を明らかにしていく。そのために、学会などで発表するための旅費などが必要になる。
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Research Products
(3 results)