2012 Fiscal Year Research-status Report
社会人分散協調学習における知識共有プロセス構造化・可視化ICTシステムの研究
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23501097
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
比嘉 邦彦 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (50282877)
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Keywords | 議論構造可視化 / 言語処理 / ソーシャルプレゼンス / ファシリテーション / 参加型ファシリテーター / コンジョイント分析 |
Research Abstract |
分散協調学習における知識共有プロセス構造化・可視化の有効性を検証するため、グループ学習支援システム(GMSS)の利用データを収集・分析し、教育効果を高めるICT活用方法について次の3つの視点から研究継続した。 1 議論構造の研究について次の2つを実施した。(1)議論内容に対するタグづけ方法の検討:議論内容を定量的かつ客観的に分析するための方法論を調査した。言語処理学分野の研究動向を踏まえた上で、「文章」単位のタグ、「発言」の構造タグ、「発言」の属性タグという3種類のタグ付与に関する方法論の確立が必要であることが判明した。(2)議論構造可視化効果に関する検討:議論構造可視化の効果検証のために、議論構造が可視化されるGMSSに対し、議論がフラット構造で推移するSNS(Facebook)との比較による対比実験の可能性を検討した。現在までのところ、議論構造可視化以外の要素(例えば、議論の雰囲気や参加者の関係性)の影響が大きいと懸念されるため、さらに実験環境についての検討を行っている。 2 GMSS利用時のソーシャルプレゼンス(以下、SP)について検証した。先行研究調査でSPは社会的認知との相関が高いという知見が得られた。2012年のアンケート調査からGMSSを頻繁に利用したグループでは認知的存在感を高め、議論の実質化を促進することを検証した。 3 参加型ファシリテーターの介在に関する研究を行った。本研究におけるファシリテーターの定義に基づいた“参加型ファシリテーター”の概念提示による実証研究を行った。実証研究から、学習者の参加型ファシリテーターの役割理解が個人及びグループの学習結果に影響している可能性を示唆した。また、介入方法として、実行プロセス支援・関係性構築支援・一学習者という参加型ファシリテーターの役割と導入デザイン案を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPおよび言語処理学分野での先行研究調査を行った。“参加型ファシリテーター”の概念提示による実証研究を実施し、本研究における議論構造の分析に関する分析方法論の構築にも着手した。また、GMSSの利用実績など本研究における分析に必要なデータの分析ツールの改善(実証データ編集機能、議題内容csv出力機能等)を行った。さらに、日本テレワーク学会、日本教育工学会、および教育システム情報学会の論文発表大会で研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の調査・検討、および研究成果をもとに、次のA~Cの研究を実施する。また、研究成果を国内外の学会で発表する。 A. 議論構造の研究:従来から検討していた量的指標(発言数や階層数)に質的指標(発言間の関係性)も含めた議論構造の分析方法論と議論構造可視化の効果評価方法論を確立し、これまでの各種議論データに適用し分析する。さらに、GMSSとSNSでの対比実験も実施する。学習意欲等の主観データの分析においてベイジアンエットワーク分析の適用の可能性と効果を検証する。 B. GMSS利用時のSPの研究:“参加型ファシリテーター”の概念提示したグループとそうでないグループのSPの醸成に違いがあるかの検証、および、グループディスカッション毎に,コンジョイント分析を用いたアンケート調査を実施し, SPの醸成に寄与するGMSSの機能を明らかにする. C. ファシリテーターの介在に関する研究:“参加型ファシリテーター”の概念提示について「日本ファシリテーション協会」などファシリテーションに関する専門分野での意見収集を行う。また、参加型ファシリテーターの導入デザイン案に基づく具体的な介入方法やその効果の検証に取り組み、研究成果としてとりまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、日程調整が付かず当初予定していた国際会議などへの出席が出来なかったことから、旅費などの執行分に繰り越しが生じたが、研究実施に関する予算執行については、ほぼ計画に沿ったものであった。 平成25年度は、本研究に関連の深い複数の国際会議を早期に検出し、論文提出を含めた参加計画を立て、予算の有効活用を図る。(昨年度は当初から1か所だけを想定していた)
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Research Products
(3 results)