2012 Fiscal Year Research-status Report
医療系知識データベースを利用した知識活用能力の評価手法に関する研究
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23501119
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
下方 薫 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10022906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 守弘 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (10281081)
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Keywords | 医療系知識データベース / 学習コンテンツ |
Research Abstract |
本年度は、平成23年度までに整備した医療系知識データベース、及び病態・症状(学習コンテンツ)を利用し、コ・メディカル学習システムを構築した。本システムを確立するために、学習時に提示した医療系知識データベースにおいて、学習者がアクセスした経路を抽出する「知識間のトレース・プログラム」、及び「学習者が病態・症状を認識する際に利用した知識に関する抽出度」と「知識間の関連性に関する理解度」を自動算出する評価プログラムを現在開発中である。 さらに、本システムを利用した実証実験を施行中である。学生を「従来と同様の症例研究(教員が主体的に病態・症状の説明を行う)を行うグループ」と「本学習システムを利用し、学生が主体的に症例研究を行うグループ」に分け、本学が行っている臨床医療現場においても本システムを活用し、電子書籍端末を利用した教育ツールとしての利便性・即時性についても評価を進めている。また、医療現場でのIT機器活用の効果についても立証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、平成24年4月より学習者がコ・メディカル学習システムを利用した場合、学習者がコンテンツをアクセスした経路を抽出する「知識間のトレース・プログラム」の開発を行った。また、同年8月より、病態・症状認識において、「利用した知識」と「上記のトレース結果」をもとに「学習者が病態・症状を認識する際に利用した知識に関する抽出度」と「知識間の関連性に関する理解度」を自動算出するプログラムの開発を行った。 本システムを利用した実証実験についてはに、平成24年12月に本学の2~3年生を対象に被験者となる20名を確保し、「従来と同様の症例研究(教員が主体的に病態・症状の説明を行う)を行うグループ10名」と「本学習システムを利用し、学生が主体的に症例研究を行うグループ10名」に分割した。また、コ・メディカル学習システムにおいて、実証実験で利用する設問10題を登録し、利用する全ての電子書籍端末(iPad)に学習環境を設定し、実証実験開始の環境を完備した。 実証実験の結果の分析(評価基準の妥当性分析)については、学生が設問に対する回答を入力する際に、平成23年度に整備した医療系知識データベース、及び病態・症状(学習コンテンツ)を閲覧する際に、閲覧したコンテンツの履歴を全て蓄積し、Excel上でトレースするプログラムを開発した。これにより、「学習者が病態・症状を認識する際に利用した知識に関する抽出度」と「知識間の関連性に関する理解度」について、その相互を分析することが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本研究の最終年度として以下の2つの研究を実施する。1点目は、コ・メディカル学習システムを利用した学生の教育的効果の測定を測定する。本研究では、平成25年度も実証実験を継続するが、最終年度では本システムの長期的効果を測定する。本研究は、学習者の知識活用に関する能力を育成する手法であるが、短期的には「特定の病態・症状(学習コンテンツ)」に対して必要な知識を理解し、これらの知識間の関連性を理解させることが目的である。しかしながら、このような学習形態を通じて、医療系知識の立体的関連の重要性を理解し、さらには医療系知識全般に関する理解が向上することが望まれる。このため、本システムの利用効果について、本学の専門課程における成績や臨床実習での実習状況とあわせて評価を行う。また、これに伴い学習コンテンツを追加作成する。 2点目は、現職のコ・メディカル・スタッフによる実用性評価を実施する。本研究は、疾病が複雑化する現代社会において、コ・メディカル・スタッフを目指す学生を対象とした学習システムとして研究を行う。さらに、その用途は病院に勤務する現職のコ・メディカル・スタッフにも有用と考える。このため、最終年度では本学との協力関係にある病院にも協力を要請、現職のコ・メディカル・スタッフにも利用してもらい、その実用性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していたプログラム開発が極めて順調に進み、支出が予定より小額となった。また、プログラムの開発を進める上で、当初の予定に加え、セキュリティの強化が必要と考えられるため、平成25年度研究計画の予算と合わせて前半に予定することとした。 平成25年度は、引き続きコ・メディカル学習システムを利用するために、本システムを稼働させるための外部サーバのホスティングサービスを利用する。 次に、本システムの実証実験の継続に当たり、本学の専門課程における成績や臨床実習での実習状況とあわせて評価を行うため、学習コンテンツを追加作成する。また、本研究は疾病が複雑化する現代社会において、コ・メディカル・スタッフを目指す学生を対象とした研究であるが、本研究内容は現職のコ・メディカル・スタッフにとっても有効であると考える。このため、病院に勤務する現職のコ・メディカル・スタッフに対しても有効性を評価するための実証実験を行う予定である。本実証実験にあたり、医療系知識データベースにより現場に即した知識コンテンツを追加する。 また、平成25年度は本研究成果について、本学が育成している6つのコ・メディカル・スタッフに関連した学会にて発表したいと考えており、本発表に必要な交通費・宿泊費としての使用を計画している。
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