2012 Fiscal Year Research-status Report
デジタルペンとマインドマップを用いた小学校における論理的思考力の育成
Project/Area Number |
23501162
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
永井 正洋 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (40387478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 淳 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70117696)
貴家 仁志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (40157110)
北澤 武 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 准教授 (80453033)
渡辺 雄貴 首都大学東京, 大学教育センター, 助教 (50570090)
加藤 浩 放送大学, 教育支援センター, 教授 (80332146)
福本 徹 国立教育政策研究所, 教育研究情報センター, 総括研究官 (70413903)
|
Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
児童にデジタルペンとマインドマップを用いて協調学習を行わせ,他者の意見と自身の意見を比較検討させた後,意見文を書かせることを通して,表現の論理性を高める授業を展開した.また,協調学習の後に,遠隔地と結んだエキスパートを授業に参加させたが,これは児童の表現の論理性に関して,一層の向上を目指してのことである.実践の結果,デジタルペンシステムとMM(マインドマップ)を用いると共に,教室と遠隔地とを結びエキスパートを授業に参加させる環境下の協調学習で以下が認められた. ・授業の事前・事後の意見文を比較した結果,MMの特徴を生かす中で事後意見文における表現の論理性が高められていたことから,MM利用の協調学習には有効性が認められる. ・エキスパートの有無に着目したとき,事前・事後の意見文に対する評価には違いが見られなかった.しかしながら,児童の意識調査から,表現の推敲時にエキスパートから影響を受けていることが示されるとともに,エキスパート有の場合の事後意見文の質的分析からも,その影響が確認された.また,具体的な意見文例の表現からは,エキスパートの指導により「明確さ」,「妥当性」,「具体性」に改善が見られ,表現の論理性が向上していることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では,事後意見文の質的分析から,「具体性」,「妥当性」,「明確さ」に改善が見られ表現の論理性が向上しており,エキスパートによる学習支援の有効性が示唆された.この他,マインドマップを利用した学習支援についても,意識調査(自由記述)や意見文,教員評価から児童が表現の論理性を高めており,有効であったことが認められた.しかし,具体的にどのような働きかけが,児童の意見文に効果的なのかについては,昨年度と同様に,未だ明確にすることができなかったので,引き続き追究したい.
|
Strategy for Future Research Activity |
【平成25年度の研究推進方策】 平成25年度以降の研究は,平成24年度のまでの進捗状況を勘案して次のように行う. ●研究協力校の学級で,引き続き授業実践(4,5 月)を行う.【永井】【上野】 ●平成23,24年度の成果と課題を精査して指導計画を修正し,対象児童を変えて実施する.【渡辺】【加藤】【福本】 平成25年度の授業実践は主に以下の1~3の観点で評価を行う.なお,最終報告としてまとめられた内容は,日本教育工学会論文誌やSITE2014など国際会議で発表する.【永井】 1.対象児童を変えた場合の効果【貴家】2.児童に課す問題を変えたり,与える順番を入れ替えての検証【貴家】3.各足場がけが児童の満足度に与える影響の分析【永井】
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、平成24年度は、効率的な予算執行で研究を進められたため、予定とおり執行したが端数残金が生じた。したがって、その残金については、平成25年度使用することとする。以下にあげる経費は,下記の通り本研究の各所と密接に関わり,円滑な研究遂行に全て欠かせないものである.特に,研究結果の一般性や客観性を高めたり,「現在までの達成度」で述べたような研究課題を明らかにするために,実践を継続していくことは重要であり,そのため本年度以降も引き続き必要とする. 【設備備品】:デジタルペンシステムは,リアルタイムでの情報の共有ができるため,本研究における協調学習を進めていく上で必要である.ノートPC は,協調作業支援システムへのアクセス及び様々なデータ解析のため必要である. 【消耗品】:各種ソフトウエアは,分析及び授業実践のために購入する. 【旅費】:国内学会参加のための旅費及び,国際会議にて研究成果を発表するための渡航に係る経費である. 【謝金】:フィールドでの実践の補助やアンケート調査の処理の補助に係る経費である. 【その他】:研究成果を印刷・製本する際の経費及び,郵便や宅配など通信に係る経費である.
|
Research Products
(6 results)