2013 Fiscal Year Research-status Report
物質・技術文化からみた近代数理諸科学の展開(1660-1840)
Project/Area Number |
23501200
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
隠岐 さや香 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60536879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 聡 東京工業大学, 世界文明センター, フェロー (30599741)
小林 学 千葉工業大学, 工学部, 助教 (60447555)
但馬 亨 四日市大学, 関孝和数学研究所, 客員研究員 (30636246)
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Keywords | 混合数学 / 技術史 / 力学史 / 河川工学 / フランス / イギリス / オランダ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、理論的探求を行う科学者集団が土木建築、軍事、産業に関わる職人層・技師などとの間に役割分担を進めて行く過程を検討した。5月には分担者の野澤聡が日本科学史学会で発表を行い、力学における二つの研究伝統の合流について論じた。7月には英国マンチェスターで開催された国際科学史学会で隠岐と新たに分担者となった但馬亨、そして研究協力者の中澤聡が研究成果発表を行った。この発表により軍事技術や河川整備事業と数学者の関わりについて理解が深まった。更には、その成果を受けて研究成果について分担者と協力者と共に話し合ううちに、この科研プロジェクトにとって特に重要な歴史上の「数理諸科学」とは特に混合数学(Mixed mathematics)のことであるとの認識が共有されるに至った。そこではまさに物質技術文化と数学理論の邂逅が前提となっているからである。そこで冬には隠岐と中澤が成果を英語論文にまとめ、昨年度研究発表会にて招待した東京工業大学の多久和理実氏と共にHistoria Scientiarumで特集「Mixed Mathematics and Its Metrial Culture」として成果を発表した。また、同特集の視野にグローバルな広がりを持たせるため江戸期の測量術とその物質文化について電気通信大学の佐藤賢一氏に招待論文を依頼したことも付記しておく。2014年3月4日には「混合数学と物質文化」の主題で研究会を開催し、隠岐、中澤、多久和、そして分担者の小林学が成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
分担者の野澤が体調不良と勤務先で課せられた業務の関係により平成25年度の海外渡航調査およびその成果のための研究が遂行不可能となった。そのためプロジェクト自体の研究期間延長を申請した。 代表者の隠岐も1月と3月に二度の手術のため入院、病気療養したため研究に遅れが生じ、当初予定していた国際誌投稿のための論文を一つ終わらせることができなかった。また、小林も家庭の事情が重なり英語論文の脱稿が遅れ、平成25年度内の出版は不可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長により分担者の野澤が平成25年度に予定されていた海外渡航調査を行い成果を発表する。隠岐は論文の執筆を進め、The International Journal for the History of engineering & Technologyに投稿する。小林はHistoria Scientiarum誌に査読審査中の論文の回答を待ち、必要に応じて加筆修正、出版を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担者の野澤氏が体調不良及び兼業における職務上の理由で平成25年度中の研究課題遂行が困難となり、研究機関の延長を申請したため。野澤氏に配分された予算が次年度使用額として繰り越されている。 研究分担者の野澤氏が欧州への海外渡航調査と文献収集、データ整理を行う。成果を元に学会発表を行い、代表者および他の分担者と成果を共有する研究会を開催する。年度末には論文投稿を行い成果を発表する。
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Research Products
(10 results)