2013 Fiscal Year Research-status Report
アメリカの軍・産・学複合体の形成とアルフレッド・L・ルーミスの役割
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23501207
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
日野川 靜枝 拓殖大学, 商学部, 教授 (90134832)
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Keywords | アルフレッド・L・ルーミス / アメリカ軍産学複合体の起源 / アメリカの研究契約 / ロックフェラー財団 / 184インチ・サイクロトロン / アメリカの科学行政官 |
Research Abstract |
当該年度の研究状況は、英文論文の作成・投稿に限定されました。その理由は、2013年3月26日に都立駒込病院で甲状腺がんの手術を受け、当該年度中は体力回復に集中したためです。最初に予定していた当該年度の研究計画、ワシントン,D.C.での資料調査・収集は1年延期して2014年度に実施します。 投稿中の英文論文は、本研究のテーマとなっているアルフレッド・L・ルーミスがカリフォルニア大学放射線研究所とどのような関係にあったのかを、実証的に明らかにしています。特に、1940年3月にロックフェラー財団が決定する184インチ・サイクロトロン開発に関連して、ルーミスがロックフェラー財団の自然科学部長W.Weaver、MITの学長K.T.Compton, ハーバード大学学長J.Conant,カーネギー研究所所長V.Bushなどと密接なつながりを形成していたことを示しました。 同時に放射線研究所所長のE.O.Lawrenceがルーミスと強い信頼関係で結ばれ、大きな影響を受けていたことも示しました。例えばそれは、1930年代末までは反戦的・厭戦的態度であった彼が開戦を必至と考えるように変化して、1940年秋には国防研究委員会の動員に応ずることになったことからもわかります。 以上のような研究状況をふまえて、新たな課題も見えてきます。それは、カリフォルニア大学自体が政府との研究契約による軍事研究に対して、どのような判断をくだして着手に踏み切っていったのだろうか、ということです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1つ目の要因は、MITに所蔵されているアルフレッド・L・ルーミスの個人資料が本研究の目的に適うものでなかったことです。現在は、MITでのルーミスの役割解明が、学長であるK.T.Comptonとの個人的交流や、MITの基礎組織であるコーポレーションにおけるルーミスの存在に向けられるべきであろうと、考えています。これらは、今後の課題です。 2つ目の要因は、甲状腺がんの手術により、ワシントン,D.C.での資料調査・収集が遅れていることです。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度が最終年度となっておりますので、本年度はワシントン,D.C.での資料調査・収集を実施します。しかし、甲状腺がん手術後1年ということから、まだ体力的には十分回復したとは言えません。そのために、山梨大学生命環境学部地域社会システムの准教授高橋智子さんに研究補助者として同行を願うことにしました。 資料収集の後には、資料解析・論文作成を目指しています。現在は、2015年3月末の退職を予定していますが、2015年4月以降は名誉教授の立場で本研究の1年間延長をぜひに実現したいと、検討しています。これまでの資料収集を実りある形で発表したいと切に願っています。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年3月26日に、都立駒込病院で甲状腺がんの手術を受け、そのために計画していたワシントン,D.C.での資料調査・収集を当該年度中に実施できませんでした。 2013年度に実施できなかったワシントン,D.C.での資料調査・収集を、研究補助者高橋智子さんと一緒に行います。
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