2015 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方日本海沿岸地域における湖沼堆積物を用いた歴史時代の環境変遷復元
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23501239
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
山縣 耕太郎 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (80239855)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 湖沼堆積物 / 歴史時代 / 環境変遷 / 東北地方日本海沿岸 / 環境同位体 / 火山灰編年 / 人為的インパクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,東北地方日本海沿岸地域に位置する湖沼堆積物を対象に,歴史時代から現在までの環境変化を読み取り,歴史史料の検討とあわせて,歴史時代における人間活動による自然環境への影響を評価することを試みた.新潟県高田平野頸城湖沼群,佐渡加茂湖,新潟平野沿岸部湖沼群,青森県十三湖において調査を行った.各湖沼において堆積物コアを採取して,堆積物の層相観察および,炭素・窒素含量,鉱物組成分析,帯磁率分析,化学組成分析などの分析を行った. 頸城湖沼群の朝日池においては,コアの下部では白色のシルト層が粘土層中に多数狭在しているが,中部では白色層が認められなくなり,最上部では粗粒化する変化が認められた.下部に狭在する白色シルト層は,洪水堆積物と考えられ,白色層が多く狭在する層準は,周辺において開発が進行する時期に相当するものと推察された.その後,湖の南岸に堤が設けられ洪水流の流入がなくなった.また,最上部の粗粒化は,1970年代以降の砂丘地の開発に関係するものと考えられた.さらに,コア下底に認められる焼山期限の火山灰(887年),築堤の時期(1646年),砂丘地開発の開始時期をもとに堆積を求めたところ,0.19-0.69cm/年の範囲で堆積速度が変動してきたことが明らかになった. 同様に,十三湖においても堆積物コアの上部で粗粒化の傾向が認められた.特に,南からの流入河川付近で粗粒部分が厚いことから,流入浮かせん流域における農地開発の影響が考えられる.一方で西方海岸砂丘や開口部からの物質供給も検討する必要がある. 佐渡加茂湖においては,表層における顕著な粗粒化は認められなかった.一方で,コア上部で有機物含量が増大する傾向が認められた.これは,湖周辺における市街地化と牡蠣養殖発展の影響が考えられる.この有機物含量の増大は,湖水下層の貧酸素化,水質の悪化と関係している可能性が考えられる.
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Research Products
(5 results)