2014 Fiscal Year Annual Research Report
ジャック・ベルタンの地図学理論の発展段階とその位置づけに関する研究
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23501251
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森田 喬 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60267325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | パリ政治学院 / 地図アトリエ / 作図ソフト / デジタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国際地図学協会から金メダルを受賞している地図学分野に大きな影響を与えてきたフランスの地図学者ジャック・ベルタン氏(2010年没)の地図学理論を、残された著作・主題図類などを系統的に整理することを通して、デジタル化による地図制作という今日的なコンテクストの中で再評価しようとするものである。全体は、(1)資料の発掘、(2)整理、(3)体系化、(4)再評価、(5)総括、の流れにより実施した。 資料の発掘・整理については、文献検索を行い結果を時系列的に整理した。その結果を体系化し、国際地図学会議パリ大会 (2011) において発表すると同時に英国の地図学会誌に論文が掲載された。また、パリ在住のロベルト・ジメノ氏より、ベルタン氏が所長であった国立高等研究院および改組された国立社会科学高等研究院の地図学研究所およびグラフィックス研究所の年次活動報告書の提供を受けた。これにより彼の研究全体の流れをチェックした。 再評価については、ベルタン氏が強調する地図記号の基本的性質である一義性・多義性について、紀元前3000年に作られた岩絵地図をイタリアのカモニカ渓谷において観察することにより、地図記号に託した意味が一義性を帯びやすいことを周辺の地図的ではない記号群と比較して考察した。また、ベルタン理論を実装化したデジタル作図ソフトを、上記グラフィックス研究所の流れをくむパリ政治学院地図アトリエのパトリス・ミトラノ氏より提供および操作解説を受け、その機能および効果について確認し、今後の展開の可能性について議論した。 総括としては、フランスにおけるベルタン理論の教育研究の拠点はパリ政治学院地図アトリエへと引き継がれており、利用ソフトの開発も続けられている。また、近年、インフォグラフィックスの分野でも応用が進んでおり、ベルタン理論は地図を含む情報の視覚処理・表現の方法として一般化が展開している。
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Research Products
(2 results)