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2012 Fiscal Year Research-status Report

南極大陸周縁域の大陸棚はなぜ深いのか?

Research Project

Project/Area Number 23501255
Research InstitutionNational Institute of Polar Research

Principal Investigator

奥野 淳一  国立極地研究所, 北極観測センター, 特任研究員 (00376542)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 三浦 英樹  国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10271496)
Keywords大陸棚 / 南極氷床 / 海底地形 / 地球変形 / 海水準変動 / 第四紀
Research Abstract

当該年度においては,まず,南極氷床の変動にともなう粘弾性的な地形変形を定量的に評価するための数値シミュレーションモデルを完成させ,南極氷床の拡大縮小にともない,縁辺部の地形がどのように変化していくのかを明らかにするための基礎的な数値実験を行った.この解析より,過去の南極氷床の最大拡大範囲が重要な条件になることを明らかにした.この結果については,欧州地球科学連合(EGU)2012年大会にてポスター発表を行った.この解析結果より,過去におこった寒冷化に対して,南極氷床がどの程度まで拡大したのかと言う問題が,大陸棚深度発達史において大きな影響を与えることが明らかになったことから,これまでに提案されている最終氷期以降の南極氷床融解史を用いて,第四紀海水準変動を再現するシミュレーションモデルを構築し,従来の融解史モデルの検定を行った.この解析結果については,平成24年度中に研究分担者との共著論文(Okuno and Miura, 2013)として発表した(現在印刷中).また,南極氷床融解量の時間的変化について,南極より離れた地域の地形地質学的な海水準変動記録を用いて,数値実験との比較を行い,南極氷床融解のタイミングと規模を推察した.南太平洋に位置するタヒチ島において採取された水面下に眠るサンゴ礁堆積物より推定された海水準変動記録と,青森県下北半島の沖積層の掘削資料より推定された海水準変動記録を用いて,解析を行った.これらの解析結果については,共著論文(Deschamps et al.,2012, Yokoyama et al., 2012)として論文発表を行った.これらの研究成果より,特に完新世中期以降において,南極氷床の融解が起こったことが確認された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度についての当初の研究計画は,過去の南極氷床変動に伴う過去の地形変化履歴を再現できるシミュレーションモデルの構築であった.また,特に最終氷期以降についての南極氷床変動と地殻変動については,従来の南極氷床融解史モデルを現在開発中の数値モデルに組み込み,数値実験を行うことを昨年度より取り組んでいた.これらの作業については概ね完了し,特に最終氷期以降の南極氷床融解史の従来モデルを使用した第四紀海水準変動の数値実験については,研究分担者との共著論文として公表することができ,さらに,100万年を超える時間スケールにおける地形変化履歴に関する数値実験結果についても,国際学会での発表を行った.本研究課題では,南極氷床変動のみならず,南極以外の現在および過去も含めた氷床変動に伴う地殻変動に引き起こされる地形変化履歴を,現在開発中の数値モデルより見積もることを挙げているが,主に,グリーンランド氷床の変動についての観測データ整備,および,氷床力学モデルより得られている氷床変動史の結果を,現在開発中のシミュレーションモデルに組み込むことにも取りかかることができている.また,最終的に数値実験結果と比較検討するための様々な観測データ整備については,南極沿岸域の堆積物データ等の整備を完了することができた.最終年度にむけて,シミュレーションモデルと観測データの整備と成果発表の両面で,順調に進捗している.このことから,本研究課題における最終的な到達目標に対して,おおむね順調に進展していると考えられる.

Strategy for Future Research Activity

当該年度に計画していた地形変化履歴を再現するシミュレーションモデルの完成については,ほぼ目標を達成できた.平成25年度は,さらに重力や現在の地殻変動といった地球物理学的シグナルを再現するシミュレーションモデルについて継続して開発を行う.これを用いて,前年度までにデータ整備を行ってきた各地域の地形・地球物理学的シグナルを数値的に再現する.その過程で,地球内部物性パラメータ,および南極氷床変動をはじめとするその他の大陸氷床変動の時間変化,空間的分布等の制約条件を明らかにする.さらに,本研究で構築した解析手法,シミュレーションモデルを,ゴンドワナ大陸に関連した大陸のみならず,最終氷期最盛期に拡大したローレンタイド氷床やスカンジナビア氷床,特に,現在も氷床が存在するが南極氷床よりスケールの小さいグリーンランド氷床地域にも適用する.さらに,国内外の研究拠点で開発されている氷床力学モデルより提案されている氷床変動についても,本研究課題で構築しているシミュレーションモデルに組み込むことができるように開発する.このような他分野の研究成果を取り込むことで,各氷床の個性や役割を明確にするとともに,大陸棚の成因について新しい分類基準の確立を試みる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Last deglacial relative sea level variations in Antarctica derived from glacial isostatic adjustment modelling.2013

    • Author(s)
      J. Okuno, H. Miura
    • Journal Title

      Geoscience Frontiers

      Volume: 4 Pages: 1-10

    • DOI

      doi:10.1016/j.gsf.2012.11.004

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Ice-sheet collapse and sea-level rise at the Bolling warming 14,600 years ago.2012

    • Author(s)
      P. Deschamps, N. Durand, E. Bard, B. Hamelin, G. Camoin, A. L. Thomas, C. M. Henderson, J. Okuno, Y. Yokoyama
    • Journal Title

      Nature

      Volume: 483 Pages: 559-564

    • DOI

      doi:10.1038/nature10902

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Holocene sea-level change and Antarctic melting history derived from geological observations and geophysical modeling along the Shimokita Peninsula, northern Japan.2012

    • Author(s)
      Y. Yokoyama, J. Okuno, Y. Miyairi, S. Obrochta, N. Demboya, Y. Makino, H. Kawahata
    • Journal Title

      Geophysical Research Letters

      Volume: 39 Pages: 1-6

    • DOI

      doi:10.1029/2012GL051983

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A new sampling technique for surface exposure dating using a portable electric rock cutter.2012

    • Author(s)
      Y. Suganuma, H. Miura, J. Okuno
    • Journal Title

      Antarctic Record

      Volume: 56-2 Pages: 85-90

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Marine Isotope Stage 3 and Holocene relative sea level variations in East Antarctica derived from glacial isostatic adjustment modelling.2012

    • Author(s)
      J. Okuno, H. Miura
    • Organizer
      極域科学シンポジウム
    • Place of Presentation
      国立極地研究所(立川)
    • Year and Date
      20121126-20121130
  • [Presentation] Effect of glacial isostasy on the depth of Antarctic continental margin.2012

    • Author(s)
      J. Okuno, H. Miura, Y. Nogi
    • Organizer
      European Geoscience Union General Assembly
    • Place of Presentation
      Vienna, Austria
    • Year and Date
      20120422-20120427

URL: 

Published: 2014-07-24  

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