2012 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌悪性度バイオマーカー候補E-FABPの発現、機能解析
Project/Area Number |
23501293
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横尾 英樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (70399947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
中西 一彰 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80374338)
柿坂 達彦 北海道大学, 大学病院, 医員 (40583092)
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Keywords | バイオマーカー / E-FABP / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
【背景】FABP5はこれまで膵癌、乳癌、前立腺癌などで予後マーカーのみならず腫瘍の増殖、浸潤に関与しているとされているが肝細胞癌における報告は未だにない。 【目的】肝細胞癌におけるFABP5の発現と臨床病理学的所見,予後,再発との関係を検討し新規バイオマーカー、ならびに治療のターゲット分子となりうるか検討した。 【対象と方法】対象は1997年から2006年までの当科で施行した肝細胞癌初回肝切除例243例において抗FABP5抗体を用いて免疫組織化学染色を施行した。腫瘍細胞に対する染色強度の定義は、score0:陽性染色なし、score1: 細胞質にわずかに染色を認めるもの、score2:細胞質に中等度染色を認めるもの、score3: 細胞質に高度染色をみとめるものとし、score0およびscore1群、score2およびscore3群の2群に分類し、病理学診断、予後および再発の比較を検討した。 【結果】score0およびscore1群は111例(45.7%)、score2およびscore3群は132例(54.3%)であった。score2およびscore3群は、AFP、AFPL3分画、PIVKA-II、腫瘍径、分化度、micro/macro vascular invasionと相関を認めた(p<0.05)。予後、再発の検討では5年生存率がscore0およびscore1群で89.9%、score2およびscore3群で59.5% (p<0.0001)、5年無再発生存率がscore0およびscore1群で47.2%、score2およびscore3群で23.7% (p<0.0001)といずれも2群間で有意差を認め、多変量解析においてFABP5は独立した予後再発因子として選択された。 【結語】肝細胞癌におけるFABP5の発現は予後、再発、腫瘍の悪性度に非常に強い相関性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体を用いたE-FABPの発現解析は予定通り終了した。現在機能解析のため肝細胞癌株を用いたE-FABPの発現状態を調べた。また、SiRNAや強制発現系株を用い増殖能、浸潤能、運動能を調べる予定であるが、E-FABP強発現株の作成に時間がかかっている状態である。SiRNAは順調に進んでおりデータもそろってきているため新しい肝細胞癌の悪性度バイオマーカーになり得ることが強く期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
SiRNAで得られたデータの確認のためにE-FABP強発現株を使用する。強発現株作成できたらすぐに増殖、浸潤、運動能などを調べE-FABPの肝細胞癌悪性度における役割を明らかにする。 予備実験で血清にもE-FABPがあることがわかっているので血清マーカーになるかも同時に調査したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)