2013 Fiscal Year Annual Research Report
河川水系のネットワーク構造に着目した気候変動・人間活動の河川環境への影響評価
Project/Area Number |
23510026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮本 仁志 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50283867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道奥 康治 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40127303)
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Keywords | 流域管理 / 河川環境 / 河川水系ネットワーク / 河道位数 / 流量 / 河川水温 / 樹林化 / 生態系 |
Research Abstract |
河川は源流から河口に至るまでツリー状のネットワーク構造でつながる.そのため,流域への様々な環境負荷に対して河川環境の応答を理解するには,そのインパクトが水系ネットワーク上でどのように伝播し,河川環境がどの程度変化を受けるのかを評価することが重要となる.研究代表者らはこれまで,河川水系のネットワーク構造に着目した解析を行い,流域環境の統合管理のための評価手法として河道位数を用いたネットワーク型の解析モデルが非常に有効であることを明らかにしてきた.本研究課題では,これをもとに気候変動や人間活動の複合インパクトが河川環境に及ぼす影響を検討した. 最終年度は,水系ネットワークモデルによる気候変動・人間活動の河川環境への影響評価に関して,以下のような研究成果を得た. まず,試験流域である揖保川を対象にして,前年度までに精緻化された水系ネットワークモデルを用いて河川水温の熱収支バランスを定量的に評価した.その結果,揖保川では夏季には水面での熱フラックスが水温形成に大きく影響するのに対し,冬季では地下水・湧水などの河床からの熱輸送が水温形成に効いていることがモデルより推定された.また,気候変動の影響として,気温と降水量の変化による河川水温変化を感度分析した結果,流域の下流に比べて上流域での水温上昇が大きいことが推定された.一方,流域の土地利用の経年変化はそれほど大きくなく,気候変動に比べて河川水温へのインパクトは小さく評価された. さらに,水系ネットワークモデルの拡張として,物質循環と底生生物を考慮した数値生態系モデルを構築し,あわせて樹林化に代表されるような河道内の植生動態モデルの構築を行い,試験流域として揖保川水系・加古川水系への適用を試みた.今後は,これら河川生態系・植生動態の水系ネットワークモデルを精緻化させて河川流域の統合管理に関する主幹解析ツールに発展させる予定である.
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Research Products
(13 results)