2012 Fiscal Year Research-status Report
黄砂による日常症状に見られる健康被害に関する広域調査研究
Project/Area Number |
23510033
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40326327)
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Keywords | 黄砂 / 健康被害 / インターネット / 健康調査 / 不眠 |
Research Abstract |
平成24年度計画として、以下の項目を予定していた。1)平成23年度調査で得られた毎日の健康調査結果と黄砂測定量をリンクさせたデータセットを作成し多変量解析を行う、2)前年度のシステムを基盤として分析結果をもとに修正する、3)院外心肺停止症例のアウトカム(生存率・脳機能分類)における黄砂の影響分析を試みる、4)前年度と同様に当該年度も調査規模を維持する、5)これまでの結果がアーチファクトでないことを確認するための追加し・詳細分析を行う。 1)~4)は予定通りに実行することができている。3)に関しては、分析を行ったが予定していたような関連性は見られなかったため、今後さらに検討を加える必要がある。4)は、前年度と同程度の調査を実施するための準備を整えることができた。5)は、黄砂の飛来する時期が5月中心であるため調査時期をずらした調査のための準備を行うにとどめたが、追加で不眠症状との関連の分析を行った。 よって、本年度予定していた研究内容に近い実績を収めることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画として、 日本生協連の協力のもとに日本生協連組合員を対象に、関東(東京)と関西(兵庫)でそれぞれ1000名(合計2000名)のモニターを対象に、我々がすでに確立している「インターネットを介した健康調査システム」を用いて、アレルギー症状に関する調査項目を追加し(調査項目:微熱、高熱、鼻水、咳、下痢、嘔吐、胃痛または腹の痛み、けいれん、目のかゆみ、発疹、関節痛、頭痛、のどの痛み、くしゃみ、皮膚のかゆみ、手あれ、不眠)、黄砂による健康被害に関する広域調査を行った。 登録モニターからインターネットを介して毎日の健康状態を収集し、自動集計後に専用サーバーで保管している。収集されたデータのクリーニングを行い、その後それぞれのアレルギー症状や不眠症状の日々の変化を有症状率で経時的に分析したのち、国立環境研究所が、24時間体制で毎日測定しているライダーデータとリンクさせて分析した。黄砂測定量だけでなく、花粉飛散量や他の環境因子も含めた分析を行えた。 以上のことから、現在までの達成度としては当初予定していた計画がおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度調査で得られた毎日の健康調査結果と黄砂測定量をリンクさせたデータセットを用いて、さらに詳細な多変量解析を行う予定である。この際、調査を実施した症状に関する項目(アレルギー症状や下痢、嘔吐等)を従属変数とし、個人的要因の影響を減らすために性別・年齢や居住地域等を独立変数として調整したうえで、黄砂量の影響を分析する。また、不眠症状と黄砂あるいは花粉との関連性の分析も行う予定である。 これまでに得られたデータとその分析結果から、平成25年度に調査を行う症状(調査項目)の再検討を行う。黄砂の時期が5月に多いため、5月から秋にかけての調査を行いさらに詳しく分析する。また、夏季の調査であるため熱中症に関するデータも収集し、広い視野で環境因子と健康状態の調査を行う予定である。 平成25年度は、前年度のシステムを基盤として、前年度の分析結果をもとに修正した調査項目などを反映したシステムで、関東および関西で調査を行い、それぞれ2000名の登録モニター数を確保して、調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は前年度までに得られた健康調査結果のデータの分析を行う。それに合わせて、これまでよりも時期をずらして調査を行う。これらにはシステムの運営管理費やモニター登録者への謝金などが必要であり、また分析作業を行うための研究補助員の人件費が必要となる。さらに、黄砂測定量等の外部データをリンクさせる作業を行うが、この際にも公的機関からデータをダウンロード後にリンクさせるための煩雑な作業が必要となる。 前年度までと同じく、当該年度も関東および関西で同様の健康調査を繰り返して行うことで研究精度を高めるため、それにかかる費用(日本生協連および関連地域生協への作業依頼、システム改修費やサーバーレンタル費等)や研究成果を発表するための学会出張に関する費用等が必要である。
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