2011 Fiscal Year Research-status Report
日本中国間の資源循環に注目した日中廃棄物産業連関分析
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23510051
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
筑井 麻紀子 東京国際大学, 商学部, 教授 (40275798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 環境経済 / 環境経済学 / 地域間比較研究 / 中国 / 政策シミュレーション / 経済政策 / 計量経済学 / 地域経済学 |
Research Abstract |
平成23年度は日中地域間廃棄物産業連関表(日中WIO表)の作成に着手した。第1段階として日中それぞれの国内における産業分類別の財・サービスの投入産出構造、廃棄物の排出と再資源化に関する推計が当初の計画の目標であった。研究の役割分担としては、日中WIO表の日本に関連する部分は研究代表者が、中国に関連する部分は、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)が主導的な立場に立って取り組んだ。 日本に関連する部分については、2005年版日本廃棄物産業連関表(日本WIO表)が公表に至っていないため、本研究で独自に簡易推計に取り組んだ。財・サービスの投入産出構造はJETROのアジア経済研究所が公表している2000年版日中地域間アジア国際産業連関表をベース資料として採用し、付加価値、最終需要についても同資料をベースとして採用した。この資料を基に、日本と中国のそれぞれの部分についての財・サービス部門の初期推計を行った。 廃棄物の排出に関しては、日本WIO表の推計に必要な基礎的な統計資料の収集を行い検討し、その結果、産業廃棄物は平成17年度の実績値が掲載された環境省の「平成19 年度産業廃棄物排出処理状況等調査」から、産廃19分類についての日本標準産業分類別の排出量、産廃19分類ごとの再資源化量総量を把握した。また、一般廃棄物については、松藤ら(松藤2005, 羽原他 2002) の手法により推計に取り組み、そのベース資料として「平成17年国勢調査」や「平成18年事業者企業統計」からそれぞれ市区町村別人口や都道府県別事業所別従業員数を把握した。これらにより、廃棄物部門の推計の準備段階が終了している。なお、中国に関する部分については、既に廃棄物部門についての推計が終了しており、研究代表者と頻繁に意見交換を行いつつ、廃棄物処理部門の推計作業に取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は日中地域間廃棄物産業連関表(日中WIO表)の作成に着手し、その第1段階として日中それぞれの国内における産業分類別の財・サービスの投入産出構造、廃棄物の排出と再資源化の現状について推計することを目標としていた。平成23年度にはベースとして採用する予定であった2005年版日本WIO表が公表に至らなかったため、独自に推計に取り組んでいた。日本に関連する部分の推計では、「研究実績の概要」において述べたように、産業の活動を表す財・サービスの投入産出構造と産業廃棄物の推計に関し、おおむね当初の計画に沿った進展をみせている。ただ、一部、産廃廃棄物について日本産業標準分類別に推計されている排出量や再資源化量を産業部門分類別に合わせて推計する作業が残されている。また、一般廃棄物の推計についても基礎資料の収集が終了しており、松藤ら(松藤2005, 羽原他 2002) の手法に準拠した方法により、産業部門分類別推計作業を進めている。 中国に関連する部分は、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)が主導的な立場に立って取り組んでいるが、既に産業分類別の財・サービスの投入産出構造、廃棄物の排出については推計作業が終了しており、当初の予定通りの進展をみせている。平成23年度後半には、当初の計画より早く廃棄物処理部門の推計作業に入っており、研究代表者との意見交換により、既に推計のためのプログラミング作業を進めている。したがって、計画全体としては、おおむね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は引き続き日中WIO表の作成を進める。日本に関連する部分の内、廃棄物部門の推計は既に大半が進んでいる。平成24年度は産業廃棄物を産業部門分類別に推計し、一般廃棄物の推計に取り組む。次に、財・サービス部門から排出される二酸化炭素排出量を代表とする環境負荷の推計を、南斉らが推計した3EID(産業連関表による環境負荷原単位データブック)の2005年版を用いて行い、日本に関連した推計の第一段階を終了させる。もし計画が順調に進めば、平成24年度中に本研究の第二段階である、廃棄物処理部門のモデリング、調査に取り組む。研究を進める過程で、廃棄物処理モデルの改善が必要となる可能性がある。一般廃棄物処理施設について設備等の情報の更新を要する場合には、インベントリ情報についての調査を実施する。産業廃棄物の処理活動については、環境省等でインプット(投入される財・エネルギー)とアウトプット(廃棄物、再資源化物、温暖化ガス排出量)に関する調査が進められているので、それらの情報も取り入れてモデルの改善を行う。 中国に関連した推計については、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)と密接な連絡を行うことにより、中国の廃棄物処理部門の推計を進めていきたい。その際、必要に応じて、日本国内または中国における施設の調査を行う。中国内の調査を行う際には、中国における現地調査の経験が豊富な連携研究者(京都大学農学研究科、加賀爪優教授)の協力を仰ぐ。 なお、平成24年度の研究中に2005年版日中地域間アジア国際産業連関表が公表された場合には、同資料に基づき財・サービス部門について修正を施し、2005年版日本WIO表が公表された場合には、日本WIO表の簡易推計を行った本研究との比較を行い、推計方法の違いにより精度にどのような影響が及ぶか検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の主な使途としては、旅費、設備備品費、消耗品費、謝金等が考えられる。まず、旅費に関してだが、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)との打ち合わせと情報収集を兼ねて国際学会(IIOA 2012 in Bratislava, Ecobalance 2012 in Yokohama)及び国内学会(環太平洋産業連関学会第23回(2012年度)大会、日本LCA学会第8回研究発表会)に参加する予定である。必要に応じて、中国への調査・打ち合わせ、もしくは研究協力者の研究グループを日本に招いての打ち合わせを行う。また、連携研究者(京都大学農学研究科、加賀爪優教授)との打ち合わせも年に2回程度実施する予定である。廃棄物施設に関する実地調査が必要になった場合には、数回の国内出張が予定される。これらの旅費が6割から7割程度を占めると考えられる。 設備備品費及び消耗品費についてだが、平成24年度に購入予定だったパソコンは平成23年度開始時点において使用していた研究用パソコンの計算能力が本研究における推計作業に必要な性能を満たさない状態であったため、前倒しで購入している。したがって、申請時の予定から変更し、平成24年度は推計や分析に必要とするMATLABやArcviewといったソフトウェアの保守管理費や文献複写費、資料・文献費が中心となると考えられる。これらの費用が研究費全体の3割から4割を占めると考えられる。 また計画が順調に進み、廃棄物処理部門の推計を行う際には、推計プログラムの作成のための謝金も必要になると考えられる。平成24年度ではこれらの費用が研究費全体の1割程度となる見込みである。
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Research Products
(5 results)