2012 Fiscal Year Research-status Report
日本中国間の資源循環に注目した日中廃棄物産業連関分析
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23510051
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
筑井 麻紀子 東京国際大学, 商学部, 教授 (40275798)
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Keywords | 環境経済学 / 環境社会システム / 地域間比較研究 / 中国 / 政策シミュレーション / 経済政策 / 計量経済学 / 地域経済学 |
Research Abstract |
平成24年度は日中地域間廃棄物産業連関表(日中WIO表)の作成を進展させた。第1段階として日中それぞれの国内における産業分類別の財・サービスの投入産出構造、廃棄物の排出と再資源化に関する推計が当初の計画の目標であった。研究の役割分担としては、日中WIO表の日本に関連する部分は研究代表者が、中国に関連する部分は、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)が主導的な立場に立って取り組んでいる。日本に関連する部分については、2005年版日本廃棄物産業連関表(日本WIO表)が公表に至っていないため、本研究で独自に簡易推計に取り組んだ。財・サービスの投入産出構造についてのベース資料は、平成23年度の時点では、JETROのアジア経済研究所が公表している2000年版日中地域間アジア国際産業連関表を採用を検討していたが、平成24年3月に経済産業省から2007年日中国際産業連関表が発表されたため、こちらを採用することにした。付加価値、最終需要についても同資料をベースとして採用した。ベース資料の変更に伴い、財・サービス部門の推計の修正を行った。 平成24年度の研究開始時点では、日本側の廃棄物処理部門活動推計プログラムはβ版が作成できていたが、中国側のWIO表作成プログラムは作成の途についたばかりであった。平成24年度に研究協力者の山東大学経済研究院林晨准教授と共に、中国側の廃棄物処理部門活動推計プログラムを開発し、そのプログラムを用いて林准教授は中国側のWIO表のプロトタイプとして北京市のWIO表の作成を行った。平成24年度には林准教授を招聘し詳細な意見交換を行い、中国側のWIO表推計に向けての問題点を洗い出し、その解決策を考え出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は日中地域間廃棄物産業連関表(日中WIO表)の作成を進め、その第1段階として日中それぞれの国内における産業分類別の財・サービスの投入産出構造、廃棄物の排出と再資源化の現状について推計することを目標としていた。日本側の推計としては、財・サービス部門、付加価値、最終需要のベース資料を、JETROのアジア経済研究所が公表している2000年版日中地域間アジア国際産業連関表を採用から、経済産業省の2007年日中国際産業連関表に変更したことに伴う、推計の修正が中心となった。そのため、進展としてはやや遅れているが、その分より新しい年度のWIO表の推計が期待できる。 一方、中国に関連する部分は大きな進展をみることができた。研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)との密接な意見交換により、廃棄物処理部門の推計プログラムがほぼ完成しつつある。この推計プログラムのテストを兼ねて、統計データが詳細に入手できる北京市についてWIO表の推計を行い、平成24年度の段階でほぼ推計作業が完成している。北京WIO表の推計を通して浮かび上がった、いくつかの問題点については、平成24年度11月の林准教授の日本招聘時に、詳細な検討と解決策の提案を行い、打開の見通しが立っている。平成25年度の早い時期には、中国側のWIO表の初期推計が終わり、その結果を発表する予定である。したがって、計画全体としては、やや遅れは見られるものの、おおむね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は日中WIO表の完成と日中WIO表を用いた最終需要の影響評価を分析する。日中WIO表完成に向けた日本側の推計作業としては、財・サービス部門のベース資料をJETROのアジア経済研究所が公表している2000年版日中地域間アジア国際産業連関表から、平成24年3月に経済産業省から公表された2007年日中国際産業連関表に変更したため、それに伴う廃棄物部門の推計年度も2007年度に合わせて推計し直す作業が挙げられる。二酸化炭素排出量を代表とする環境負荷の推計、財・サービス部門から排出される二酸化炭素排出量を代表とする環境負荷の推計を、南斉らが推計した3EID(産業連関表による環境負荷原単位データブック)の2005年版を用いて行い、日本に関連した推計の第一段階を終了させる。廃棄物処理部門の原単位は、2000年版日本WIO表と同様の係数を用いて行う。必要に応じて、廃棄物処理部門のモデリングとインベントリ情報についての調査を実施する。 中国に関連した推計については、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)と密接な連絡を行うことにより、中国WIO表の廃棄物処理部門の推計の完成を目指す。既に推計プログラムはβ版のデバッグの段階に入っており、平成25年度6月には一部の成果の発表を行う予定である。また、プログラムの改良に際しては、必要に応じて、日本国内または中国における施設の調査を行う。中国内の調査を行う際には、中国における現地調査の経験が豊富な連携研究者(京都大学農学研究科、加賀爪優教授)の協力を仰ぐ。 これらの推計作業の結果得られる日中WIO表を用いて、日中それぞれの最終需要が互いの廃棄物の排出や環境負荷にどのような影響を与えるかを分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の主な使途としては、旅費、設備備品費、消耗品費、謝金等が考えられる。まず、旅費に関してだが、研究協力者の林晨(山東大学経済研究院准教授)との打ち合わせと情報収集を兼ねて国際学会(IIOA 2013 in Kitakyushu)に参加する予定である。必要に応じて、中国への調査・打ち合わせ、もしくは研究協力者の研究グループを日本に招いての打ち合わせを行う。また国内の産業連関分析関連の最大の学会である環太平洋産業連関学会第24回(2013年度)大会に参加する。環太平洋産業連関学会は近年中国の産業連関分析研究者との連携を深めており、日中に関連した多くの研究発表が行われているので有効な情報収取や意見交換ができると考えられる。また、平成25年度開催予定の日本LCA学会第9回研究発表会に参加し、平成25年度時点での成果を発表する予定である。また、連携研究者(京都大学農学研究科、加賀爪優教授)との打ち合わせも年に2回程度実施する予定である。これらの旅費が6割から7割程度を占めると考えられる。また、研究成果は国際学会の論文誌への掲載を目指す。多くの国際誌ではネイティブチェックが義務付けられているため、英文校正の謝金も必要であり、1割か2割程度を予定している。 設備備品費及び消耗品費についてだが、推計や分析に必要とするMATLABやArcviewといったソフトウェアの保守管理費や文献複写費、資料・文献費が中心となると考えられる。これらの費用が研究費全体の3割から4割を占めると考えられる。
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Research Products
(2 results)