2011 Fiscal Year Research-status Report
移動体オペレータの行動特性から観た船舶運航安全性評価に関する研究
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23510199
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
石橋 篤 東京海洋大学, 海洋工学部, 講師 (00242321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘明 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特任教授 (70016963)
内野 明子 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (40311005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒューマンファクター / 船舶運航技術者 / 船舶運航技術 / 行動特性 |
Research Abstract |
本研究は移動体の安全な運航環境を実現するための環境条件(人間とそれ以外の要素)を論理的に明らかにし、一般社会に対し移動体操縦者いわゆるオペレータの重要性を正しく認識させることを目的としている。近年、移動体、大型プラントで発生した事故及災害の原因はそのシステムを運用する人間(オペレータ)にあるとされ、その割合は非常に高いと理解されている。特に船舶運航においては事故の原因の80%以上は人間、すなわち海技者に原因があるとされている。 本研究では船舶運航を例に安全な移動体運航を達成するための必要条件を移動体操縦者の行動を詳細に分析することによって明らかにすることを目的としている。近年、ヒューマンファクターの視点から事故災害の原因分析、対策が提案されているが、その多くは心理学を基本とした研究がほとんどである。本研究では工学的な視点から人間の行動分析を行い安全運航実現のための客観的な評価指標を開発することを目的としている。操船者の行動特性を詳細に分析するためには、船舶の操縦室で海技者の行動を正確に観察する必要がある。船舶操縦室を模擬したブリッジモックアップ内には船舶運航のために必要となる航海計器、双眼鏡等が設置されている。海技者の行動観察はこれらの計器類の使用状況についても対象とする必要がある。現在、船橋モックアップ内に設置した、ビデオカメラ、マイク及び一部の計器情報を一つの画面に統合し収録する装置の開発を行っている。しかし、解析対象とすべき計器情報や船位決定状況及び精度を確認するためのシステムは無い。また、船舶運航を行う操船者の行動分析を行うためのシステムも開発されていない。本年度は行動記録装置及び解析システムの設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始年度(2011年度)は震災の影響により研究経費の減額等が検討されていたために研究経費の執行方法の再検討を行っていた。その後、減額はなく当初予算が認められた ことから、当初の計画に従い行動記録装置及び解析システムの設計を行った。2011年秋頃に必要機材の購入を計画し業者に在庫の確認を行ったが、関係業者からの回答は震災の影響で製造が出来なくなり、年度内に必要機材の購入が出来なかった。しかし、デモ機材等による仮製作及び性能確認を終えることができているので次年度は当初計画通りに研究を進めることが出来ると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、行動記録装置解析システムの製作と有用性を検証する。さらに、代表的な操船環境条件として他の船舶との衝突を回避する操船(避航操船)を対象に操船者行動の収集解析を行う。 操船は1名による単独当直とよばれる状態とする。操船を行う海技者は乗船経験を基準に設定を行う。その概要は下記に示す。 1)海技免許取得前の学生 2)乗船経験が1年程度(3級海技士)操船者の行動特性分析は研究分担者である小林教授の研究により明らかにされた船舶運航に必要な要素技術の実行状況を対象とする。本研究においては船位決定、見張り、操縦、機器取扱い及び情報管理技術の各技術の実行状況を調査対象とする。操船シミュレータを用いて調査対象となる技術を必要とする航行環境を再現し、その状況における操船者が実行する各技術の実行状況を詳細に観察する。海技レベル及び乗船経験が異なる海技者の操船状況を調査、比較することによって、海技士レベル毎の技術行使状況や各技術の実行内容の違いを明らかにすることを目的としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究経費の計画は下記の通りである。 1.昨年度設計を行った行動記録装置及び解析システムの製作 2.研究成果発表旅費 3.操船シミュレータ実験に伴う消耗品購入
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