2013 Fiscal Year Annual Research Report
3個以上のマグマ溜りによる大規模火砕噴火に関する岩石学的研究
Project/Area Number |
23510220
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石崎 泰男 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (20272891)
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Keywords | マグマ溜り / 火砕噴火 |
Research Abstract |
最終年度は、男体火山の末期噴火(約17000年前)と沼沢火山の沼沢湖噴火(約5000年前)の噴出物の希土類元素含有量及びSr同位体比分析を重点的に行い、これらの大規模火砕噴火に関与した複数マグマ溜りに貯蔵されていたマグマ間の関係を検討した。 末期活動及びその後の噴火期のマグマの関係を、噴出物の希土類元素含有量の分析結果をもとに検討した。末期活動前半のスコリア噴火のデイサイトと後半の軽石噴火のデイサイトでは、同じ全岩SiO2量をもつにもかかわらず、希土類元素含有量が大きく異なることから、これらのデイサイト質マグマは親子関係があったとは考えにくいこと、また、それぞれが地殻浅所の異なるマグマ溜りに貯蔵されていたことが裏付けられた。末期噴火後半の軽石噴火から約8000年前の噴火までは、デイサイトの希土類元素存在度パターンが完全に一致し、すべてが同一のデイサイト質マグマに由来した噴出物であること、二つの主デイサイト質マグマ溜りの一つが末期活動にも地下に残存し、苦鉄質マグマの注入を切っ掛けとした噴火活動を繰り返していたことが明らかになった。 沼沢湖噴火及びその先行噴火(70 ka、50 ka、40 ka及び24 ka噴火)のマグマの関係を、87Sr/86Sr比をもとに検討した。その結果、40 kaの噴火と24 kaの噴火の間に珪長質マグマの87Sr/86Sr比が急増しており、この期間に珪長質マグマのマグマ溜りが再生され、沼沢湖噴火を引き起こしたデイサイト質マグマ溜り(沼沢湖噴火の主マグマ溜り)が誕生したことが明らかになった。また、沼沢湖噴火で噴出した軽石、黒色スコリア、灰色スコリアは異なる87Sr/86Sr比をもっており、沼沢湖噴火で活動した主・副3つのマグマ溜り中のマグマが親子関係も持たないこと、またそれぞれのマグマが異なる起源物質から生じたことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)