2014 Fiscal Year Annual Research Report
孤立した大地震被災地の初動救命活動を支援する可搬動力システムの開発
Project/Area Number |
23510222
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 満 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (10300047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井野 秀一 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (70250511)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 地震災害 / 救命活動 / 救命機材 / 水素吸蔵合金 / シール技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
可搬性に優れた重量物排除機器の開発に必要な技術要素のうち、本年度は試作が遅れていた動力変換部の試作を実施した。動力変換部は水素吸蔵合金(MH)から放出される水素の圧力を昇揚運動に変換する伸縮部を構成するとともに、水素を密閉する外殻、および重量物排除機器自体の筐体を兼ねている。非作動時は外径347mm、高さ90mmの円筒形で、内殻部の上面(φ259mm)が50mmの範囲で外殻部から昇降して重量物を昇揚し、昇降段の内部の水素圧を0.15 MPa上昇させると10000 Nの昇揚力を発生する。このように本機器は比較的低い水素圧で高い昇揚力を得ることが可能である。併せて水素供給源となる200gのMHを内包し、外部の熱源ユニットからの加熱が可能なMHユニットも試作している。本機器では、電力や圧力源が調達困難な被災地での使用に適した熱源として生石灰に水を混合させた反応熱を利用するが、それらを内包する熱源ユニットはMHユニットに接触させて熱を伝達する。現試作機ではMHユニットと熱源ユニットは機器外部に分離して配置する構造であり、使用時に動力変換部本体に接続する。本機器は低水素圧で駆動する特性から、動力変換部の水素はOリングの2重配置でシールされる構造を基本としており、この構造で十分な気密性が得られることを確認している。さらに、動力変換部は重量物排除用エアバッグをそのまま内蔵できる構造となっており、これと併せて3重の水素シール機構とすることも可能である。以上の成果より、本課題の目的である電力・燃料供給不要の救命用動力源がMHを利用して実現可能であることを確認するに至った。さらに可搬性と備蓄性を考慮するとMHユニットを機器内部に置き、熱源ユニットを機器本体にはめ込むことで作動できる方式への改良が望まれるほか、災害現場で想定される条件での駆動試験を重ねて、信頼性を獲得することが不可欠である。
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