2012 Fiscal Year Research-status Report
強風被害拡大影響因子のリアルタイム情報を学習するモデルの構築と住家強風危険度判定
Project/Area Number |
23510227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 衣利子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (30346829)
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Keywords | 強風災害 / 建築構造 / 被害推定 / 統計分析 / 影響因子 / 地理情報システム |
Research Abstract |
住家などへの強風被害の発生と拡大には,風速値だけでなく屋根形状などの建物の構造特性や維持管理状態,住民の防災意識などの様々な要因が関連すると考えられ,風速や建物の構造特性と被害拡大との関連はこれまでにも報告されている。しかしながら,被害範囲が広域に及ぶ強風被害では,個々の被害事例の悉皆調査を行うことが難しく,被害建物の状態や住民の防災意識などに関する定量的な分析はほとんど行われていない。また,強風被害の経済的損失は甚大であるものの,住家耐震性能の向上などで被害件数そのものは年々減少しており,時代に応じた被害推定モデルを更新する必要があると考えられる。本研究では,被害拡大影響因子の時間的変化を定量的に分析し,最新情報で更新できる被害推定モデルを構築して,被害をより正確に推定することを目的とする。 平成24年度は,被害拡大影響因子の時刻歴変化を分析し,前年度に試作した強風被害推定モデルの更新を試みた。 まず,被害拡大影響因子の変化を分析するため,構造物および風況情報の追加・更新を行った。具体的には(1)熊本県宇城市での住家建物の構造特性に関する悉皆調査を行った。(2)平成24年5月6日に北関東で発生した竜巻による住家被害の特徴を分析し,情報を整理した。(3)風速の評価時間の違いによる最大瞬間風速値および乱れの強さの変化特性を定量的に整理した。(4)過去の台風の接近および被害履歴を自治体ごとにまとめた。(5)被害拡大因子に係わる情報を一括で管理できるよう,地理情報システム(GIS)の基礎的なデータベースを試作した。最後に,上述する情報を追加して,被害推定モデルの変化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に北関東で発生した竜巻の被害調査に基づき,被災建物の構造や被害状況など,被害拡大影響因子に係わる情報を更新するとともに,熊本県宇城市では建物の構造特性に関する詳細な調査を行うことができた。また,情報を効率よく整理するために地理情報システムを使ったデータベースの作成に着手し,被害拡大影響因子の変化を定量的に把握するための基礎を形作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度および24年度で作成した被害拡大影響因子データベースをさらに拡充し,被害推定モデルの更新作業を進める。具体的な方策は以下の通りである。 (1)被害拡大影響因子の情報更新にともない,より効率的な地理情報システムの利用方法を検討する。 (2)前年度に引き続き,数値流体解析で地形や土地利用情報の変化が強風被害に及ぼす影響を検討する。 (3)過去の台風履歴に加えて,今後の台風特性の変化を分析する。 (4)以上の情報分析結果をモデルの変化履歴をとりまとめて,研究総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の物品等を購入予定である。 ・将来の都市の粗度変化や局所地形変化に伴う風況の数値流体解析を行うための市販の数値流体解析ソフトおよびソフトに対応したパソコン等の関連消耗品 ・気候変動に伴う台風の特性を分析するために、気象庁で公表されている気象資料 ・効率よくGISアプリケーションを利用するための関連図書やパソコン関連消耗品 ・被害調査および建物構造特性調査を効率よく行うためのネットワーク関連消耗品およびモバイル器機等
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Research Products
(10 results)