2012 Fiscal Year Research-status Report
イノシトールの選択的直接置換法の確立とバイオマスとしての利用展開
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23510257
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 裕 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40114722)
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Keywords | イノシトール / 選択的置換反応 / LiCl / DMA / 光学活性 / 無保護 / 有機合成 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
昨年度に1,3位ジ置換イノシトール並びに1位モノ置換体のそれぞれの選択的合成法を確立し、次年度には、その応用を手がけることとした。 一つは、機能性材料の開発を目指し、界面活性剤と機能性の高分子の合成を試みた。前者については、いくつかのデザインした長鎖をもつアシル体やスルホニル体が簡便に合成できることがわかった。それらの水に対する溶解度からモノ体である事が必須で、機能性については界面張力を測定して評価してみた。その結果、もう少し水に溶解度のある誘導体をさらにデザインする必要があることがわかった。一方、イノシトール基盤のモノマーとしてメタクリル酸エステルを合成した。その高分子化でポリマーが得られることが分かったので、その性質を今後調べて行く。 また、キラルイノシトール誘導体を得る手段として2つの方法を検討した。1,3-ジアシル体の酵素による不斉加水分解の検討では、前年度のアセチル体を官能基化した誘導体をいくつか合成し、その一つの1,3-ジ(クロロアセチル)体から光学収率の高いモノアシル体が得られることがわかった。このキラル体の効率的取り出し手法の確立を急ぎたい。 一方、反応メディアとして使うLiCl/DMA溶媒系をイノシトールに限らずポリオール類の選択的置換反応として合成利用する事を検討した。その結果、グルコシドを始め各種のアルコールで選択的なアシル化やスルホニル化などが行えることがわかり、合成的利用価値のある方法ができあがったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に開発した選択的置換反応の手法を利用して、次の目標である機能性物質の創製のためにいくつかの候補化合物が合成できた。一つは界面活性能がみられ界面活性剤の開発に向け期待が持てることとなった。高分子の合成も簡便にできることがわかったことから、機能性物質の今後の開発に弾みがつくものと思われる。 酵素反応によるキラルイノシトール誘導体の合成も期待の持てる状況にある。相まって、無保護イノシトールのリン酸化に目処がたったので、当初の目標であったPI3Pの合成に向けられる状況になってきた。 このような状況から概ね順調な展開となっていると判定される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年の成果の基礎的な結果をさらに詳細に詰めると同時に、それらに基づいて応用展開をはかり、PI3Pの合成、界面活性剤の開発並びに有用ポリマーの合成を達成したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光学活性体の合成が多くなるので、高価な光学活性試薬類をはじめとして物品費に殆どを充てる。 旅費として日本化学会春季年会(名古屋)と日本化学会中四国学会に参加と本成果の報告をするために充てる。
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Research Products
(5 results)