2013 Fiscal Year Annual Research Report
都市に生きるサマの民族誌――生業と信仰をめぐる選択の過程
Project/Area Number |
23510302
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青山 和佳 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90334218)
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Keywords | 経済 / 宗教 / 東南アジア / サマ・バジャウ / 都市 |
Research Abstract |
当初の研究計画は、フィリピンのミンダナオ島ダバオ市の文化的少数者サマ・バジャウ社会を事例に、貧困者は画一的に捉えられるべき救済対象者ではなく、価値観や文化に従った主体的選択により行動しているという基本仮説を立て、複合的調査法により検証するものだった。これにより、経済生活と価値観の相互関係を動態的に検討するための方法論及びそれを具体的に示すデータセットを提供することを目指し、最終的に民族誌を英語と現地語で作成する予定であった。平成25年度夏に予定していた家族史調査のため、英語論文執筆及び講演・報告を通じてこの分野の欧米出身の先行研究者であるクリフォード・セイザー博士及びハリー・ニモ博士をそれぞれ米国の自宅に訪問、そこで口頭報告を行い(平成25年6月29日~同年7月9日)、本研究の意義と独自性を確認できた。平行して、ダバオ市で調査対象の5家族を訪問し、過去の日本語著作の翻訳(英語・セブアノ語)の内容確認の準備をした。また、地域的文脈をよりよく理解するため、フィリピン再民主化過程に関する政治学の議論(とくに中間層と貧困層との接触領域を扱ったもの)を学び、二重公共圏を論じた著作の書評も執筆した。英語論文の準備としての自己の日本語論文の翻訳を進め、それを公表し(Harvard-Yenching InstitueのDissertation Writing Seminarに参加、及び日本の学術雑誌に投稿)、ハーバード大学で本研究テーマに関連するランチトーク(90分)をハーバード大学人類学部のテオドル・ベスター教授を討論者に迎えて行った。下記で「今後の研究推進方策」に記すように、この留学中に本研究課題について分析枠組みの発展をみたため、「研究計画最終年度前年度応募」に応募し、平成26年4月に採択されたため、本研究は平成25年度末をもって発展的に終了することとなった。
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