2012 Fiscal Year Research-status Report
在日ビルマ人ネットワーク形成をめぐる複合的研究―歴史的背景と日韓の実態比較
Project/Area Number |
23510324
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
根本 敬 上智大学, 外国語学部, 教授 (90228289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宣 元錫 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10466906)
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Keywords | 在日ビルマ人 / 在韓ビルマ人 / ビルマ難民・移民 / 難民・移民政策 / 移民ネットワーク |
Research Abstract |
研究代表者の根本敬はオーストラリアを訪問し、メルボルン市とシドニー市それぞれに在住するビルマ人コミュニティに対する調査をおこなった。その際、聞き取りを実施した相手の個人的背景(難民ないしは移民となってオーストラリアに移動した理由)のほか、オーストラリア政府や各州政府(自治体)の難民・移民に対する実際の政策を彼らがどのようにとらえているかを尋ねた。また関連してオーストラリア側の移民受け入れ政策に関する資料収集をおこなった。 研究分担者の宣元錫は、韓国に住むビルマ人コミュニティへの2度目の調査を実施し、前回調査の補充と、その後の変化を確認した。特に在韓ビルマ人の民主化活動家たちが韓国で民主化活動を経験した人々との交流を深め、そこから学ぼうとする姿勢を強めていることを確認した。日本国内でのビルマ人難民への調査も継続した。 研究協力者の梶村美紀はビルマ(ミャンマー)に行き、現地で資料調査とNGO等への聞き取りを実施した。前年に引き続き在日ビルマ人諸団体への聞き取りもおこなった。日本国内では2003年以降少数民族組織が急増し、最近はそれら諸団体と旧来のビルマ民族中心の民主化推進組織が相互に連帯を深めていることを確認した。 年度末に研究代表者が勤務する大学で研究情報を交換し、これまでの調査の暫定的なまとめを行い、かつ次年度に向得k多課題を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目としての目的は大体において達成したといえる。初年度にひきつづき、日本国内でのビルマ人コミュニティへの聞き取りを推し進め、特に研究協力者の梶村美紀によってさまざまなデータを得ることが可能となった。また在韓ビルマ人コミュニティ(特に韓国で民主化活動を展開するビルマ人)に対する聞き取りも継続き、彼らが抱える課題とここ数年の状況の変化が確認できた。 研究代表者が実施したオーストラリア(メルボルン市、シドニー市)での現地ビルマ人コミュニティの調査は、単に彼らが置かれている状況の確認だけでなく、受け入れ側であるオーストラリア政府の移民政策の理念と実態を理解するにあたって、たいへん有意義なものであった。 これにより、日本、韓国、タイ、オーストラリア4国のビルマ難民・移民受け入れの実態や基本政策の比較が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はひきつづき日本国内でのビルマ人コミュニティへの調査に力をそそぐほか、韓国とタイでの補充調査を予定している。初年度に実施した英国での旧植民地国家の移民にかかわる史料調査の補充をおこなうことも考えている(予算上の制約があるので、実施できない可能性もある)。 年度末にはシンポジウムを開催し、3年間の調査・研究の暫定成果を提示し、移民や難民の研究者を招いてアドヴァイスを得るつもりである。そのうえで、近い将来、成果刊行物を出版することにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度も主要支出は海外調査旅費になる。韓国(研究分担者)、タイ(研究協力者)、英国(研究代表者)にそれぞれ1回ずつ短期で訪問し、聞き取り調査(英国では史料調査)を実施する予定である、ただ、予算の制約上、英国への調査はおこなわない可能性もある。このほか、日本国内でのビルマ人への聞き取りの継続に伴う謝金支出と、年度末のシンポジウム開催のための支出も予定している。
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Research Products
(8 results)