2014 Fiscal Year Annual Research Report
パキスタン農村における土地所有と権力のダイナミクスに関する研究
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23510334
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小田 尚也 立命館大学, 政策科学部, 教授 (30436662)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | パキスタン / 在地権力 / 農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年の下院議会選挙で当選した下院議員全員(272名。女性枠およびマイノリティーの留保枠を除く)を対象に、土地とのつながりを調査した。調査時点で3席空席(FATAで1席、Punjab州で2席)であり、269議席が対象となった。質問の内容は当選した議員が、有権者にZamindar (大土地所有者)として認識されているかどうかである。その結果、269議員中、6割を超える166議員(61.7%)が土地所有者として認識されており、依然としてパキスタンの国政において土地と権力の結びつきが見られる。比較的高い数字であるが、州ごとに見た場合、この結果がパンジャーブ州の数値に大きく影響されていることがわかる。KP州、パンジャーブ州、シンド州、バロチスタン州それぞれのZamindar比率は、次の通りである(括弧内左の数字はzaminadr議席数。右は各州の総議席数)。KP: 25.7% (9/35), Punjab: 78.8% (115/148), Sindh: 55.7% (34/61), Balochistan 42.8% (6/14). 最大州であり、かつ農業を含むパキスタン経済の中心であるパンジャーブ州では下院選出議員の8割近くが土地所有者として各選挙区で認識されており、強い結びつきが見られる。近年、地方政治においては在地権力の存在が依然として見られるが、国政レベルにおいては土地と権力の結びつきが低下しているとの見方があるが、今回の調査において、パンジャーブ州ではそのような傾向が明確に見られない。むしろ在地権力がよりヴィジブルなものとなっていると考えることもできる。
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Research Products
(2 results)