2011 Fiscal Year Research-status Report
家庭科・技術科教員の性別職域分離を乗り越えるための教育臨床学的研究
Project/Area Number |
23510339
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小高 さほみ 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (10451650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 ゆかり 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (40510813)
本多 満正 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (20451651)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 性別職域分離 / 教師教育 / ジェンダー / 教員養成 / 家庭科教育 / 技術科教育 / 男性教員 / 女性教員 |
Research Abstract |
学校において「性別職域分離」が強固な教科のひとつとして、家庭科があげられる。特に、中学校の技術・家庭科は、男女必履修となって子どもたちは性別にかかわりなく学ぶようになって久しいが,教える側は主に家庭分野は女性の家庭科教員、技術分野は男性の技術科教員という分離は変わらない。ただし、近年,それぞれの職域に参入する異性の教員や教員志望の学生が微増している。「性別職域分離」の継続とその変化の兆しには、性別役割分業の再生産とその変革の可能性とを内包している。本研究では、教育臨床学的な研究のスタンスを取り、中学校の技術・家庭科における「性別職域分離」をめぐる再生産の構造と課題を明らかにすることを中心にして、家庭科教育及び技術科教育の「性別職域分離」を乗り越える方策を検討する。 本年度は,東日本の三都県の「性別職域分離」の実態把握のための予備調査を実施した。中学校の技術・家庭科の配置状況等と授業担当に際しての問題の質問紙調査の結果から、物的条件の問題が浮かび上がってきた。そこで、中学校の技術・家庭科をめぐる教育条件整備に関する歴史的経緯と教育課題を理論的に検討し、学校現場の実態について複数回の面接調査を実施した。また、教員養成系大学での技術科及び家庭科教員養成の情報収集と、家庭科教育に関わる授業を対象とした調査を実施するとともに、教員向けワークショップを開催した。その結果、人員配置及び物的条件は自治体、学校の差異が明らかになり、個々の教師の直面する問題の多様性が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、①教員養成系大学及び学校教育現場の「性別職域分離」の実態把握のための質問し調査と、②男性家庭科教員、女性技術科教員の課題解明のために,インタビュー対象者の選定と予備調査であった。後者は、概ね予定通り達成したが、前者については、予備調査の段階で物的条件の課題の重要性が明らかになり、調査と理論的検討の内容を大幅に変更した。計画外の研究内容の成果は投稿論文の審査待ちである。また、当初予定していた内容の調査時期は、次年度に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、①予備調査から焦点化した課題の教員の聞き取り調査(特に、女性技術科教員と男性家庭科教員の研究参加者を対象とする)及び質問紙調査、②教員養成系大学の技術科・家庭科教員養成の実態把握のためのアーカイブ調査及び事例研究、さらに,これらの知見を踏まえて,③家庭科及び技術科現職教員と教員養成系学生を対象としたワークショップ及びネットワーク作りを試験的に開催する。 また,調査結果は,学会の口頭発表を行い,投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実施予定であった、教員養成系大学及び学校教育現場の「性別職域分離」の実態把握のための質問紙調査を、次年度実施する。調査対象は、教員養成系大学・学部、教育委員会、学校であり、質問紙の印刷、郵送料、資料整理とデータ入力のためのアルバイト謝金を必要とする。また、調査にあたっての計画検討、データ分析・検討のための打ち合わせ、及び調査結果の学会口頭発表のための旅費、学会参加費及び論文投稿料等が生じる。
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