2012 Fiscal Year Research-status Report
家庭科・技術科教員の性別職域分離を乗り越えるための教育臨床学的研究
Project/Area Number |
23510339
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小高 さほみ 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (10451650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 ゆかり 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (40510813)
本多 満正 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (20451651)
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Keywords | 教師のライフヒストリー / 性別職域分離 / 教員養成 / 家庭科 / 教師のキャリア形成 / 男性教員 / ワークショップ / アクションリサーチ |
Research Abstract |
本研究は、学校現場において「性別職域分離」が最も強固な教科のひとつである家庭科と技術科の実態と課題を明らかにし、解決を検討するものである。近年,それぞれの職域に参入する教員や学生が、課題を抱えているか否かを明らかにし、課題が存在するならば、その解決策を探求していく。23年度は、予備調査として、3都県の中学校の技術・家庭科担当教員への質問紙調査とインタビュー調査、中学校及び高等学校の授業と校内研修の参与観察と授業研究を行った。その結果、インフォーマルなインタビューにおいて、第一に家庭科を担当する男性教員の研修の場への参入の困難さと、女性教員の「同性の職域」という認識が明らかになった。第二に、実習を行うための教材・教具の問題が明らかになり、物的条件も含めた調査と理論的検討を行った。 24年度は、これらの予備調査を踏まえて、4つの研究を行った。研究の第一は、全国の教育委員会、及び中学校を対象とした質問紙調査である(現在分析中)。第二に、複数の大学を対象とした学生へのインタビュー調査を実施し、インフォーマルなインタビューから、男子学生の葛藤する課題が浮かび上がってきた。第三は、教員養成課程の演習、及び現職研修向けのワークショップを企画・実施し、その成果の一部を発表した。第四に、家庭科教員の性別職域に関わる先行研究を再検討し、校種別に異なる課題があることを見出した。①小学校の男性担任教員の担当回避、②中学校の免許外/兼担、③高校の男女必履修を契機に参入した男性教員の葛藤である。なお、現職教員との授業研究の一部を、授業実践及び教材開発として公表する機会を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究計画は、①中学校の技術・家庭科教員の実態を明らかにする質問紙調査、②教員及び学生を対象としたインタビュー調査、③ワークショップ実施、④先行研究レビューであった。研究代表者の不慮の事故により、やむを得ず、一部の研究活動を延期することとなり、成果公表の一部が遅れることとなった。 質問紙調査では、昨年度の予備調査の結果を踏まえて質問項目を作成し、また中学校管理職及び教員の協力を得たことにより、豊富な回答を得ることができた。インタビュー調査は、実施時期が遅れたものの、大学関係者の協力を得て、インフォーマルなインタビューを行うことができた。ワークショップは、複数の地域で開催し、継続して実施地域と参加者を確定することができた。また、昨年度の研究成果を踏まえて、学会で報告し、今後の研究に対する有益な示唆をえることができた。先行研究レビューからも、本研究の意義と方向性を確認することができた。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、これまでに得られた結果を基にして,家庭科及び技術科をめぐる「性別職域分離」の実態と課題を明らかにし、それらの知見を踏まえて、家庭科教員と技術科教員の課題解決の方策を検討する。また、24年度の予備調査によって焦点化した学生と教員のインタビュー調査も進める予定である。現職教員と教員を目指す学生らの調査結果の分析とともに、理論研究に重点を置いて研究を進め、口頭発表と投稿によって成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査は、旅費、テープおこしなどの謝金などを予定している。質問紙調査については、データの整理、データ入力の謝金と、パソコンと周辺機器及びソフト購入を予定している。またワークショップでは、会議費、旅費、教材開発・ネットワーク関連購入費を予定している。その他、文献購入、口頭発表のための旅費等、投稿に関わる費用として、英文校正、印刷費等、最終年度として報告書の作成費を計画している。
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[Book] 教材事典2013
Author(s)
日本教材学会編 共著 (小高さほみ)
Total Pages
600ページ(318-319、321、333)
Publisher
東京堂出版
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