2014 Fiscal Year Annual Research Report
経済インフラの社会ジェンダー分析 貧困削減と食糧の安全保障へ向けて
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23510341
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Research Institution | National Women's Education Center |
Principal Investigator |
田中 由美子 独立行政法人国立女性教育会館, その他部局等, 研究員 (60571221)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 土地権 / 近代化 / ジェンダー / タンザニア / キリマンジャロ / 慣習的耕作権 / 国際協力 / 開発政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
土地権の近代化は、女性が有していた土地の慣習的耕作権を剥奪し女性の地位を後退させるという批判が、B.アガルワルらの社会学者により1980年代から繰り返されてきた。農村地域において土地(農地)は最も重要な資産であり、土地へのアクセス(用益権)とコントロール(所有権)は、農村女性の生計や世帯及び地域社会における意思決定にも影響を与える要因であるとして世銀やFAO をはじめとする国際開発機関により、女性の土地権取得に向けた支援がおこなわれてきた。しかし、平準的に女性に近代的土地所有権を付与すれば、女性の地位が向上するわけではなく、逆に負の影響が生じることもある。本研究では、国際協力におけるジェンダー平等論の実証的検証として、タンザニア国キリマンジャロ州の農村女性の土地に関わる諸権利(土地権)の分析をおこない、農村女性が土地権に関連した「価値あると思う」ことを選択する過程およびメカニズムを明らかにすることを通じ、開発政策へのインプリケーションを検討することを目的とした。本研究では、女性の土地権に関する従来の論証を仮説とし、これらを検証するためにキリマンジャロ州において、1.政府の土地配分と慣習的耕作権、2.土地権の近代化に伴う女性の土地権の喪失、3.土地の管理権(営農権、収益権、処分権)に関する価値観、4.土地権に関する地域社会の考えについて分析した。その結果、農村女性は土地に関わる諸権利(土地権)について、家族・婚姻関係、固有の状況、ジェンダー関係、事柄の多義性との関連において、「価値あると思う」ことの組み合わせと選択を通じて、「価値あると思う」ことの行為に結び付けている。しかし、その実現可能性を高めるうえでは、地域コミュニティが農村女性の土地権を「価値あると思う」こととして選択することが助勢となるということが明らかになった。本年度は成果を英文化しジャーナルへの投稿準備をした。
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Research Products
(1 results)