2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520014
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渋谷 治美 埼玉大学, 教育学部, 教授 (50126083)
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Keywords | カント / 自己実現 / 人間思想 / 最高善 / 価値ニヒリズム / 演繹論 / 観念論論駁 / 四極構造 |
Research Abstract |
○ 私が主催する少人数の研究会で『道徳形而上学の基礎づけ』を精読した。カントの思想 的特質のうち、イエスの黄金律に帰着する幸福主義的な道徳観を他律として批判すること を通じて、キリスト教の神から戴いた道徳律をも同じく他律として退ける、という戦略が 鮮明となった。 ○ 論文「人間愛から嘘をつく権利と称されるものについて」を精読した。その結果ようや く、当初の仮説どおり、この論文にもカント特有の二枚舌が隠されていることを発見し た。この収穫は大きかった。(→H.25年度に口頭発表の予定) ○ 『純粋理性批判』前半(「原則論」まで)の詳細な摘要を作成した。この作業によっ て、例えば、「物自体」と「超越論的客観」とのカント超越論における身分の同一性と差 異性が鮮明になった。これによって、従来の私の「カントにおける四極構造」のうちのD にあたる極の解釈がよりいっそう立体的なものになった。 ○ 昨年度に引き続き、二つの有力大学で非常勤講師として「カント人間思想の総合的把 握」と題して講義を受け持った。これにより、10の仮説からなる私の複合的なカント仮 説をブラッシュ・アップすることができた。 ○ 研究協力者のウィーン大学ペルトナー教授の著書『哲学的美学』の翻訳を通して、カン トの美学に潜む存在論的含意を学ぶことができた。 ● 年度後半に、ライフ・ワークとなるカント研究の著作の執筆に取り掛かる予定であった が、上記翻訳に集中したため、果たすことができなかった。(→H.25年度に果たす)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
* カントの綜合的把握を構造的に表す仮説群を確立する、カントの主要著作を改めて精読 する、等の研究作業ははほぼ順調に進んでいるが、他方、①先行する主要カント研究の読 破が遅れていること、②本研究によるカント研究の執筆にまだ取り掛かっていないこと、 の二点から、(3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
○ 10のカント仮説をさらにブラッシュ・アップして、著作とする。 ○ 国際カント協会の学会(2015年ウィーン大学)で口頭発表する。 ○ 国内の学会で口頭発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)