2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520014
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渋谷 治美 埼玉大学, 教育学部, 教授 (50126083)
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Keywords | 国際研究者交流(オーストリア) / カント / 人間思想 / 自己対象化 / 二枚舌 / 嘘論文 / 純粋理性批判 / 啓蒙 |
Research Abstract |
この三年間に本科研費補助金を活用して以下の研究活動をなした。(1)カントの著作等としては『純粋理性批判』(1781,1787)『道徳形而上学の基礎づけ』(1785)『天界の一般自然史と理論』(1755)「人間愛から嘘をつく権利と称されるものについて」(1797)の四点を精読した。(2)これまでの自分のカント研究の全成果を「カントの人間思想に関する十の仮説」(仮、概要)にまとめた(最終年度も改訂を重ねる)。(3)これを「特殊講義」として、東京の二つの有力大学の文学部哲学科等でH.23、H.24年度の二年にわたって講義した。(4)三年間に学会等の機会に全部で五回、(1)(2)の成果を口頭発表した(うち一回最終年度)。(5)研究協力者のペルトナー教授をウィーンに三回訪ね、意見交流した。(6)ペルトナー教授の著書『哲学としての美学』を四人の共訳者と共にほぼ全訳した(最終年度)。(7)ペルトナー教授を日本に招聘し、カントの美学を中心に二回の講演を開催した(最終年度)。(8)『人間学』に関するM.フーコーの研究書の邦訳の書評を学会誌に寄せた。(9)カントの人間思想に関係する講演を一回話し、随筆を一本書いた(最終年度も含む)。 以上の活動から得られた主な研究成果は以下の通りである。①カントの人間思想の随一の特質を「人間の自己対象化的性格」に見ようとする仮説に一層の確信が得られた。②カントが生涯を通じて一方で哲学的に厳密な議論を展開しながら、他方で時の権力・宗教界の目をごまかすために二枚舌等の文章術を駆使していたことが判明した(最終年度)。 今後の研究の展開:この研究成果を基にして、a) 今後二年間のうちに『カントの人間思想に関する十の仮説』(仮)を上梓する。b) H.27年9月にウィーン大学で開催される第12回国際カント学会において口頭発表する。c) 上記(6)をH.26秋に出版する。
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Research Products
(1 results)