2011 Fiscal Year Research-status Report
「情動的言語使用」の哲学-ニーチェと/の「コミュニケーション理論」
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23520032
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
齋藤 直樹 盛岡大学, 文学部, 准教授 (90513664)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 哲学 / ニーチェ / 言語 / 情動性 / 批判理論 / フランクフルト学派 |
Research Abstract |
本年度はまず、現代のフランス現象学者によるニーチェ解釈、とりわけ「意識的志向性」に先行する「身体的情動性」の所在を主題化するディディエ・フランクによるニーチェ解釈を導きの糸としながら後期ニーチェ思想に改めて精査を加え、それを「身体的情動性の現象学」として体系的に再構成した。この成果によって、教義の芸術論の埒内でもっぱら理解されていたニーチェの言語論を、より現代的かつ包括的な思想的文脈に位置づけることを可能にする理論的基盤が確保された。 次いで、フランクフルト学派における「コミュニケーション理論」の現代的展開、とりわけハーバーマスの「討議理論」が示す普遍主義的な性格、あるいは合理性の偏重といった傾向を問題視するアクセル・ホネットの議論を詳細に検討し、彼の言う「情動的な承認関係を基盤としたコミュニケーション・パラダイムの人間学的実質化」というプロジェクトの理論的意義を体系的に明らかにした。これによって、素朴な非合理主義としてしばしば批判されてきたニーチェ思想の意義を、新たな視座から再評価しうる現代的な議論状況が存在することが明らかにされた。 加えて、これまで主題化されることの少なかったニーチェの「言語論」を(本研究とは異なる視点からでなあるが)体系的に取りまとめたClaudia Crawfordによる大著The Beginnings of Nietzsche's Theory of Languageが詳細に検討され、本研究が提示しようとしているニーチェ言語論の独自性あるいは妥当性を客観的に評価しうる評価軸が新たに確保された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実行することを計画していた、後期ニーチェによる「身体的情動性の現象学」の精査、ならびに、ホネットによる「コミュニケーション理論の承認論的転回」の検討をおおむね予定通り遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、初期ニーチェが「悲劇論」の埒内で比較的詳細に展開していた言語をめぐる考察を、前年度の研究成果をふまえながら遡行的に評価することを通じて、ニーチェ思想全体を視野におさめた彼独自の「言語論」を体系的に取りまとめていく。さらに、アクセル・ホネットの議論に本質的な影響を与えたチャールズ・テイラーの「アイデンティティ論」を新たに詳細に検討し、情動的言語使用の問題圏をさらに切り開いていくことが目指される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度と同様に、ニーチェならびにフランクフルト学派、加えて言語論に関連する専門的な邦文・欧文文献を包括的に収集する。さらに、研究成果を検討するための学会・研究会に参加するための旅費を捻出する。加えて、収集資料ならびに研究成果を整理・保管するための電子機器を整備する。
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Research Products
(2 results)