2014 Fiscal Year Annual Research Report
アリストテレス倫理学書の成立史及びヘレニズム時代への影響史
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23520038
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 正祐 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60587765) [Withdrawn]
佐良土 茂樹 上智大学, 哲学研究科, 研究員 (40711586)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アリストテレス / 倫理学 / ヘレニズム / 発展史的研究 / エウデモス倫理学 / 徳倫理学 / 実践的賢慮 / コーチングと徳の涵養 |
Outline of Annual Research Achievements |
1980年代の英米圏における徳倫理学(virtue ethics)の復興以来、現代哲学の視点から注目を集めてきたアリストテレス倫理思想の様々な局面を、主著とされる『ニコマコス倫理学』のみならず、『エウデモス倫理学』『大道徳学』『徳と悪徳について』など、わが国では専門研究の分野ですら従来ほとんど考慮されてこなかった(ヘレニズム時代の偽書を含む)周辺の著作をも視野に入れて、歴史的・分析哲学的の両面から複合的に理解することが本研究の眼目である。これはA.Kenny, J.Cooperらをはじめとする80年代以降の主として英語圏の研究成果の批判的摂取とも連動しており、複数の倫理学書を参観することで、従来のアリストテレス理解を修正して、複眼的な徳論や行為論の分析が可能になってきた。英仏ではここ10年ほどの間に『エウデモス倫理学』の新しい翻訳書の刊行が相次いでおり、研究は大きく進展している。わが国でも本研究によって、ようやく国際的な水準での共通の議論が可能となる下地が形成された。 個別的には、とりわけ2013-2014年度にかけて発表した、実践的賢慮(phronesis)、幸福(eudaimonia)、弁論と正義、さらにコーチングと徳の涵養といった一連の主題の研究成果は、経営学(一橋大学)、精神医学(精神病理学会)、体育学(バスケットボール学会)の研究者たちとの領域横断的な研究交流をふまえて、古代哲学以外の領域にも影響を及ぼしつつある。平成26年度中はこうした研究の派生的な成果も発表する機会を得た。 最終年度の成果は、すでに公表した以外にも、研究代表者、分担者ともに、2015年中に以下の媒体で逐次、発表される予定である。 『アリストテレス全集16』(岩波書店)、『西洋哲学の起源』(放送大学教育振興会)、『理想』(理想社)、『西洋古典学研究』(岩波書店)、『哲学科紀要』(上智大学文学部)。
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Research Products
(5 results)