2011 Fiscal Year Research-status Report
日本で発見されたオリヤー語『マハーバーラタ』「津島貝葉」の校訂テキスト作成
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23520072
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
DASH Shobha 大谷大学, 文学部, 講師 (20460660)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | マハーバーラタ / 貝葉写本 / オリッサ / オリヤー語 / Saraladasa / Mahabharata / palmleaf manuscript / 津島貝葉 |
Research Abstract |
本研究は、愛媛県宇和島市津島町に残るオディアー(オリヤー)語版『マハーバーラタ』の貝葉写本「津島貝葉」に関するものである。『マハーバーラタ』研究、とりわけその受容史の解明に有益である当該写本の校訂テキストの作成を中心とし、「津島貝葉」の異本の入手および「津島貝葉」を底本とした『サララー・マハーバーラタ』「森林章」第一部の校訂テキストの作成を目的としている。これらの目的を達成するために研究を進め、2011年度は、以下のような成果を得た。(1)2011年8月にドイツへ行き、「津島貝葉」の校訂版の異本の一つとしてチュービンゲン大学所蔵の貝葉写本のマイクロフィルムのコピーを手に入れ、その研究許可も得た。(2)2012年3月9日~2012年3月23日まで該当写本の作成地であるオディシャー(オリッサ)州へ行き、研究調査を行った。州都ブバネシュワルにある州立博物館の貝葉写本部門で校訂のために異本になる貝葉写本について調べた結果、研究対象になる26本の貝葉写本の存在を確認でき、それらの登録番号等詳細を控えた。今後徐々にそれらの中から保存状態の良いもののみのデジタル資料を入手していきたいと思う。(3)ブバネシュワルにあるウトカル大学のオディアー語学科によって開催された2012年3月15日及び16日二日間に渡る全国セミナー「『マハーバーラタ』:インド東部の社会、言語及び文学におけるその影響の研究」(The Mahabharata : A Study of its Impact on Society, Language and Literature in Eastern India)に参加し、インド全国から集まった『マハーバーラタ』の様々な要素について研究している研究者たちに当研究の紹介をでき、懇談することができた。その経験は今後行なって行く校訂本作成の祭に非常に役立つことに違いない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、宇和島市津島町に保存されている17世紀の初頭頃に書写され、江戸時代中期頃に日本に伝来したと思われているインド東部・オディシャー(オリッサ)州の『マハーバーラタ』の貝葉写本「津島貝葉」の異本の入手およびその校訂テキストの作成を目的としている。 この研究目的を達成するために、先ず「津島貝葉」の校訂本作成のために必要とする異本の選択とその入手は不可欠であった。ゆえに、2011年度にチュービンゲン大学所蔵貝葉写本一つのマイクロフイルムからのコピーを手に入れ、それを異本の一つとしてローマ字入力の作業が進んでいる。さらに、オリッサ州立博物館に当研究対象となる26本の貝葉写本の存在が確認でき、それらの中から保存状態の良いもののみのデジタル資料の入手、及びその研究許可を得ること等は現在準備段階にある。 2011年度内に海外研究協力者たちと打ち合わせをし、これから行なっていく研究方針について具体的な話しもできた。 オディシャー州のウトカル大学のオディアー語学科によって開催された2012年3月15日及び16日二日間に渡る全国セミナー「『マハーバーラタ』:インド東部の社会、言語及び文学におけるその影響の研究」(The Mahabharata : A Study of its Impact on Society, Language and Literature in Eastern India)に参加し、インド全国から集まった『マハーバーラタ』の様々な要素について研究している研究者たちに当研究の紹介をでき、懇談することができた。 以上のような理由により、当研究の目的を達成するために2011年度に行なった研究の達成度はおおむね順調に進展していると自己点検する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に行なった基礎作業をベースに写本の解読を遂行し、校訂テキストの作成に取りかかる。まずは、2011年度に調べたオディシャー州立博物館所蔵の異本のデジタルデータ、もしくはその他の研究可能な形での資料入手を第一作業とする。校訂作業は、M. Maithrimurthi博士の助言に基づきDASH Shobha Rani(研究代表者)、DASH Anirban博士(海外研究協力者)、SAHOO Udaya Nath博士(海外研究協力者)が行なう。5本の異本のうち、研究代表者が2本、上記の海外研究協力者は各々1本ずつ担当する予定である。作業の進行状況により、必要であれば、作業従事者を増加/変更する。それぞれが担当した箇所を毎年少なくとも2回の読み合わせを行なった上で最終チェックをする。研究代表者は本研究に関わる全ての研究者と頻繁に連絡をとり、コーディネーターの役割も果たす。 2011年度に入手したチュービンゲン大学所蔵の異本の複写はデジタルデータではなく、マイクロフイルムからの複写になっているので、大部分において文字が不鮮明になっており、全く解読ができない箇所もある。そのため、2012年度中に一度チュービンゲン大学へ足を運び、実物の写本より文字解読を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の主な研究費使用計画は以下の通りである。(1) 2011年度に調べたオディシャー(オリッサ)州立博物館に所蔵されている校訂作業のための異本のデジタルデータ、もしくはその他の研究可能な形での資料入手を2012年度の第一作業とする。研究費の多くをそのために使用する予定である。必要が生じた場合現地へ足を運ぶこともある。(2) 2012年7月31日~8月12日まで北京で行われる第5回チベット学国際セミナーに参加し、その中のサンスクリットパネルの一員として当研究の成果を発表することになっているため、海外旅費、滞在費などが必要となる。(3) 2012年8月20日~9月20日まで海外研究協力者のM. Maithrimurthi博士(ハイデルベルグ大学、ドイツ)を招聘し、夏休み期間中に校訂作業を行う計画もしている。(4) 2011年度に入手したチュービンゲン大学所蔵の異本の複写はデジタルデータではなく、マイクロフイルムからの複写になっているので、大部分において文字が不鮮明になっており、全く解読ができない箇所もある。そのため、2012年度中に一度チュービンゲン大学へ足を運び、実物の写本より文字解読を行う予定である。
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Research Products
(2 results)