2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァリニャーノ『日本史』の翻訳・分析に基づく十六世紀日本の比較宗教研究
Project/Area Number |
23520081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
狭間 芳樹 京都大学, 文学研究科, 研修員 (80588046)
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Keywords | キリシタン / イエズス会文書 / ヴァリニャーノ / 比較宗教学 / キリスト教 / 仏教 / 浄土真宗 / 一向宗 |
Research Abstract |
最終年度となる平成25年度には、研究全体の課題を解明するために関係研究者多数の協力を得た講演会形式の研究会を二度にわたり実施した。まず平成25年11月には「キリシタン研究における比較の視座」についての会を京都大学で開催し、天理大学の東馬場郁生氏から「きりしたん研究と宗教学的方法論」、南山宗教文化研究所の日沖直子氏から「カクレキリシタンの美術とキリスト教図像学―比較研究上の問題点について―」との題目で報告をうけ、そこでの議論をもとに本研究課題が抱える問題点を検討した。 ついで平成26年2月には本研究の完了に向けて、文書翻訳の問題についての会を京都大学で開催した。『十六・七世紀 イエズス会日本報告集』などの翻訳がある京都外国語大学の東光博英氏から「イエズス会日本書簡集と邦訳」との題目で、特にエーヴォラ版『日本書簡集』の邦訳をめぐる問題点、すなわち未訳・誤訳といった具体例をもとに、イエズス会文書翻訳をめぐる問題についてきわめて示唆に富む報告をうけた。同朋大学の安藤弥氏の「本願寺・一向一揆と戦国期の民衆―キリシタンとの関係を視野に入れて―」では、キリシタン民衆と比較の対象として扱った一向宗徒の一揆研究の現状と課題、ならびに近世日本の宗教状況をふまえた戦国期からキリシタン時代の「民衆」像について意義深い報告をうけた。それらを踏まえ、京都大学の芦名定道教授をはじめ、スペインやイタリア等、国内外の研究者を交えて活発な議論をおこなうことができた。 全体を通じて、フロイス『日本史』にくらべてヴァリニャーノ『日本史』が日本人の宗教的心性をより深い位相で捉えていることが明らかとなり、近世日本における宗教観の解明に大きな一歩を進めることができた。
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Research Products
(6 results)