2015 Fiscal Year Annual Research Report
「もの」と「場所」の霊性の生成に関する宗教人類学的研究
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23520082
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷 千代子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (20450207)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 場所 / スピリチュアル運動 / アニミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は複数の事例研究をもとに、現代社会における「もの」や「場所」の在り方の変化を考えるという構成になっている。今年度は、福岡市の今津人形芝居についての調査と報告書の執筆を終え、2016年3月刊行の『福岡市史民俗編 ひとと人々』に「人形芝居と人々」としてその成果の一部を掲載することができた。ここでは、人形芝居が成立する場所の在り方が、明治から現在にかけてどのように変化したかを扱った。明治から昭和にかけては個人宅や校庭、神社境内などで手作りの舞台を作っていたのが、小学校や地域の会館施設へと選択肢が限定されていく様子を明らかにした。中国の観音信仰についての事例研究は、中国でのスピリチュアル運動に関する研究へと展開し、これについては2015年8月に調査を行うとともに、ドイツで開かれた国際宗教史学会で成果の一部を発表した。そこでは、宗教活動の可能な場所が限定されている中国において、家庭集会のようなものが成立したり、日常生活そのものが修業の場として読み替えられたりする状況を明らかにした。フェティシズムやアニミズムなど、理論面に関する研究としては、エドワード・タイラーの『原始文化』の翻訳作業を続けながら、訳語の検討を通して考察を続けた。この作業には思いのほか時間がかかっており、現在も継続中である。今年度は、共訳者である二人の宗教学者と、タイラーの考え方の特徴や時代背景などについて、二度にわたって検討会を行った。
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Research Products
(2 results)