• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

近代ドイツにおける宗教と出版社の関係についての研究

Research Project

Project/Area Number 23520084
Research InstitutionKinjo Gakuin University

Principal Investigator

深井 智朗  金城学院大学, 人間科学部, 教授 (40306379)

Keywordsドイツ / 思想史 / 編集者
Research Abstract

今年度もミュンヒェンを中心に、資料調査を行い、クリスティアン・カイザー社及びアルブレヒト・レンプ関係の資料、とりわけ手紙や帳簿、また会議録などの資料を収集することができた。本年度の研究計画として、
1、クリスティアン・カイザー社とその社主であり、編集者であったアルブレヒト・レンプと、カイザー社刊行の『時の間』に投稿した思想家との関係についての研究としてはルドルフ・ブルトマンの事例について詳細な研究を行うことができた。
2、調査、収集した資料の分析と報告、また公開については、日本宗教学会、日本基督教学会関東部会、ドイツ・パウル・ティリヒ協会の学術大会で行うことができた。
3、レンプ関係の資料がマールブルク大学神学部図書館に保存されていることが明らかになったので、その調査に出かける計画は、計画途中に資料公開が突然中止となり(担当司書と病気療養のため)、行うことができず、次年度以降、公開が再開されてから行うこととなった。
4、国際的な会議で研究成果を報告することについては、2で記した通り、2013年2月に行われたドイツ・パウル・ティリッヒ協会の国際学術大会で研究報告をし、他国の研究者と意見交換をすることができた。また研究成果を学術大会の報告書という形で公開できることになった(既に投稿済み)。
予定外であるが、2013年2月の渡独時に、旧ドレスデン工科大学の資料室を訪ね、パウル・ティリヒとヨハネス・ベックマン出版社の編集者との未公開の書簡9通と、ティリヒが書いた「社会主義的宗教」という未刊の原稿を入手できた。書簡を通して、この原稿がなぜ刊行されなかったかについても解明することができた。それは編集者の思想的行為の具体的なサンプルであり、これも論文にまとめたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の計画のうち、相手側の資料室の担当司書が病気になり、調査が中断しているものを除き、計画通りに実行し、完了することができた。
その理由としては、昨年同様、ドイツ側での研究協力と受け入れの体勢が整っていることをあげることができる。ミュンヒェン大学のフリードリヒ・ヴィルヘルム・グラフ教授、バイエルン・アカデミーのシュテファン・パウトラー博士、ヴィッテンベルク・エヴァンゲリッシュ・アカデミーのアルフ・クリストファーセン教授(2012年11月からミュンヒェンより移動)、フランクフルト・アン・オーデンのガンゴルフ・ヒュービンガー教授が有益な資料を提供してくれた。
その結果思想家と編集者の関係について、あるいは思想形成における編集者の貢献度や思想的介入について、具体的な資料に基づく、文献学的な解明を行うことができた。個別の事例について、推測や完成した著作からの判断ではなく、書簡や編集会議の議事録、またゲラにおける修正やコメントを通して、思想が思想家と共に、編集者によって形成され、文書化されるプロセスを検証することができ、本研究が目指した、近代ドイツにおける宗教と出版社との関係についての具体的な形が見えてきた。

Strategy for Future Research Activity

本件の第三年目はこれらの研究をまとめて、報告書を作成する、また研究成果や収集した資料を公開するために必要な手続きを進める。
とりわけ著者と編集者(あるいは出版社)との思想的連関、社会的交流の解明、そして編集者は出版された「思想」にどれほどかかわっているのか、という問題の関係を続けたい。その際思想的なテクストを生み出した社会的コンテクストと、その社会的なコンテクストを生み出した思想的テクストとの有機的な関連に注目し、具体的な事例を中心に、ヴィルヘルム期からヴァイマール期ドイツの宗教界の動向を、編集者という視点を含めて再構築するための提言を行いたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究第三年目は、後半期に最終的な研究報告を作成することを念頭において、前半期では調査がまだ不十分な部分について再度渡独し、資料収集を行い、分析を急ぎ、後半期のまとめに間に合わせたい。
具体的には、研究調査のための旅費、資料整理のための人件費、さらには研究成果をまとめるための印刷費などが必要となる。

  • Research Products

    (9 results)

All 2012 Other

All Journal Article (6 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] なぜ神学者ナウマンが『中欧』を書いたのか-神学的でも社会主義的でもないが、「ドイツ・ルター派的」な政策2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『思想』

      Volume: 1056号 Pages: 195~224

  • [Journal Article] 聖なる政治的精神と絶対他者としての神2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『理想』

      Volume: 688号 Pages: 2~14

  • [Journal Article] 「倫理が政策となる時、ルター派の義認の教理は正しく解釈されるのです」-文化プロテスタンティズムと神学的アヴァンギャルド2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『青山総合文化政策学』

      Volume: 4巻2号 Pages: 267~293

  • [Journal Article] ゼラ・クライスとヴァンダーフォーゲル-オイゲン・ディーデリヒス社とヴィルヘルム期の「教会外のキリスト教」2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『金城学院大学論集』人文科学編

      Volume: 第9巻第1号 Pages: 64~85

  • [Journal Article] 編集者アルベルト・レンプの死を悼む手紙-ミュンヒェンの神学的アヴァンギャルドとしてのゲオルク・メルツとクリスティアン・カイザー社2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『聖学院大学総合研究所紀要』

      Volume: 52号 Pages: 209~240

  • [Journal Article] 1913年のルドルフ・ブルトマン2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Journal Title

      『金城学院大学論集』人文科学編

      Volume: 第9巻第2号 Pages: 52~78

  • [Presentation] 1913年のルドルフ・ブルトマン2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Organizer
      日本宗教学会学術大会
    • Place of Presentation
      皇學館大學
    • Year and Date
      2012-09-06
  • [Presentation] 1930年代のルドルフ・ブルトマン

    • Author(s)
      深井智朗
    • Organizer
      日本基督教学会関東部会
    • Place of Presentation
      東京女子大学
  • [Book] ヴァイマールの聖なる政治的精神-プロテスタンティズムとナショナリズム2012

    • Author(s)
      深井智朗
    • Total Pages
      386
    • Publisher
      岩波書店

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi